西アフリカの最貧国とされ、NBA選手・八村塁氏の父の故郷としても知られるベナン共和国で、現地男性の第二夫人となったエケ陽子さん。

 青年海外協力隊ではじめて訪れたベナンで現在の夫・ボナさんと出会い、日本で結婚・出産をした後、昨年、家族でベナンに移住した。

 同国の農村部に色濃く残る一夫多妻制のカルチャーに戸惑いながらも、ベナンの人々のエネルギーに惹かれ、女性支援活動も行う陽子さんに、その暮らしぶりやカルチャーについて聞いた。(全3回の1回目/続きを読む

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ベナンで暮らすエケ陽子さん

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洗濯は手洗い、電気や水道もない村の生活

――西アフリカの最貧国と言われるベナンは、どんな国ですか。

エケ陽子さん(以下、陽子) 経済的都市のコトヌーは中国による開発が盛んに行われていることもあり、大きなビルが建っていたりしてかなり都会ですが、そこからちょっと離れるとまだまだ村の暮らしが主流です。

 私は南西部に位置するドボ=トタという地方都市に住んでいますが、都市といっても家は土壁がほとんどで、電気が通っていないところもあります。水道も整備されていないので、大きなボウルを頭に乗せた女性や子どもが毎日、水場まで水汲みをしに行っています。

――陽子さんのお家の状況は?

陽子 私たちは日本にいる間にちょこちょこお金を貯めて家を建てたので一応、コンクリートの壁ではあるんですけど、まだ公共の電気は通っていなくて。電柱は立ったのであともう少しと聞いていたものの、半年経った今もまだ電気がきていません。なので、電気を引いている家からラインを分けてもらっているのと、ソーラーパネルで賄っているような感じです。

 水は、家の前の長屋に水を貯めるタンクがあるので、そこから引けています。この前、コトヌーのお友だちの家に行ったら洗濯機がありましたが、うちはまだないので、全部手洗いです。

――手洗いでの洗濯、かなり大変ではないですか。

陽子 家族4人分の洗濯物の手洗いってめちゃくちゃ重労働で。毎日、午前中の2時間は洗濯にかかりっきりになってますね。

 

海外への憧れを封印、看護師をしながらモヤモヤを抱えて

――日本にいる間は看護師をされていたそうですが、なぜベナンに行くことになったのでしょうか。

陽子 小さい時から引っ込み思案だったのですが、海外ドラマの影響もあり、海外に対しては強い憧れがありまして。

 社会人になって看護師として働き出してからは海外への思いを封印していたんですけど、医療センターの小児病棟で働く中で、「私は一生このまま看護師として同じ場所で生きていくのかな?」と、モヤモヤを抱えるようになって。

――お仕事でモヤモヤするようなことが多かった?

陽子 たぶん、生死に関わる現場にいたことが大きかったと思います。やりたいことは早めにやっておかないとという気持ちが募って、国内外へ放浪をはじめて。

 まず、カナダのトロントやオーストラリアに留学した後、お金を貯めるためにまた日本に戻り、喜界島で7ヶ月間、看護師として働きました。そこで、島から一歩も出ないまま亡くなっていく人に会ったりしたことで、ああ、どこにいても幸せっていうのは自分次第なんだと実感したことが、自分の中で大きかったですね。

 その後、2013年に青年海外協力隊員としてベナン共和国に赴任しました。