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上流階級の女性を誘惑し「ナチスに復讐」する男だが…画面からあふれる、後戻りできない“やるせなさ”<かつての発禁小説を映画化>

注目女優・芋生悠が観た映画『フィリップ』

2024/06/22

source : 週刊文春CINEMA 2024夏号

genre : エンタメ, 映画

note

メッセージと芸術性が両立した作品

 現在もガザやウクライナの戦禍が続く中で、この映画は戦争は絶対にしてはいけない、戦争が題材の要素の一つではないということを訴えていると思いました。

©TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022

 戦争がもたらす悲劇を身近に感じて我々は戦争を無くすためにどうすればいいか、大事な人を守るためにどうすればいいかを今一度考えなくてはならない。そのメッセージと芸術性が両立した作品だと思います。

いもう はるか 1997年熊本県生まれ。2015年デビュー。映画『ソワレ』(20年)、映画『ひらいて』(21年)などで大いに注目される。CM出演や舞台など幅広く活動している。公開待機作に『初めての女』、『次元を超える』、『ROPE』などがある。

『フィリップ』
INTRODUCTION
 原作はポーランドの作家レオポルド・ティルマンドの実体験に基づいた小説だ。発行禁止になり長い間陽の目を見ることがなかったが、2022年にオリジナル版が出版された。
 監督のミハウ・クフィェチンスキはその事実から導き出す魂の解放・自由奔放な姿を、第2次大戦、ナチス支配下のドイツを舞台に官能的な要素を加えて映画化した。
 知的で美しいドイツ人の女性との出会いに復讐から一転愛に目覚め、困難な時代でも心を自由にして生きていく主人公フィリップの苦悩の姿を描く。

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STORY
 1941年、ワルシャワのポーランド系ユダヤ人フィリップは、目の前でナチスに恋人や家族を殺されてしまう。2年後、フィリップはフランクフルトにあるホテルのレストランでウェイターとして働いていた。フランス人と名乗り、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス上流階級の女性たちを次々と誘惑することで復讐を果たしていた。
 やがて知的な美しいドイツ人、リザと出会い本当の愛に目覚めていくが、親友が理不尽な理由で銃殺され自由を求めてある行動を決断する。

STAFF & CAST
監督:ミハウ・クフィェチンスキ/出演:エリック・クルム・ジュニア、ヴィクトール・ムーテレ、カロリーネ・ハルティヒ、ゾーイ・シュトラウプ、ジョゼフ・アルタムーラ/2022年/ポーランド/124分/配給:彩プロ/6月21日公開

週刊文春CINEMA 2024夏号 (文春ムック)

週刊文春CINEMA 2024夏号 (文春ムック)

週刊文春

文藝春秋

2024年6月5日 発売

上流階級の女性を誘惑し「ナチスに復讐」する男だが…画面からあふれる、後戻りできない“やるせなさ”<かつての発禁小説を映画化>

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