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中国風の架空世界が舞台の「薬屋のひとりごと」がなぜ奈良に? 異例のコラボを生んだのは、JR東海女性職員の“愛”だった

「推し旅」のつくりかたを担当者に聞く

2024/06/22

genre : ライフ,

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日本酒醸造元の社長は原作の大ファン

岩本:漢方の「利き茶」をご提案したときに「こういうふうにやればできるよ」とご提案してくださいました。漢方を使ったお茶を何個か準備いただいて、そのお茶がどの漢方薬を使われてるか当てるクイズができます。

杉山:クイズやりました。私は勘ぐりすぎて間違えましたが、居合わせた女の子たちは当てていてすごいなあと。原作にあるような「媚薬」を作ろうという話には?

岩本:ならなかったです(笑)。媚薬にかけて、甘いもの、例えばチョコレートのお店にも参加してほしいと思いましたが、スタンプラリーの施設が多すぎても一日にまわりきれないので、今回は断念しました。

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杉山:春鹿醸造元の今西清兵衛商店さんは?

岩本:春鹿さんはとても有名な醸造元で、社長さんが原作のファンでした。めっちゃ詳しかったんです。

杉山:ファンの方が訪れたとき、社長さんが居たらお話ししたいでしょうね。

岩本:春鹿ブランドの中で、超辛口が有名なんです。今回は試飲体験を提供してくださいました。

杉山:お酒を使ったバームクーヘンとか、奈良漬けとか、日本酒の香りのお茶とか、お酒を飲めない人も楽しめるグッズがありますね。スタンプラリーはほかに、奈良公園と猿沢池、これは定番観光スポットですね。アニメイト奈良は、アニメファンなら素通りできないところでしょう。

限定ガイドブックはアニメイト奈良と啓林堂書店奈良店で販売
©日向夏/イマジカインフォス イラスト:しのとうこ

岩本:アニメイト奈良さんと啓林堂書店奈良店さんは、このスタンプラリーをコンプリートした方と、新幹線内でプロローグボイスドラマを再生して乗車証明を獲得した方にお渡ししているノベルティの引換対応でご協力いただきました。それだけではなく、原作がライトノベルで出版社から発売されているので、コミックスやアニメファンの方にもライトノベル版を手に取ってほしいと思い、スタンプラリーのスポットに追加させてもらいました。

杉山:啓林堂書店奈良店の2階がすごいですね。図書館の閲覧室みたいで、後宮にもあんな書庫があるかもと思いました。まるで猫猫が書物に没頭する場面を追体験するかのようです。アニメイト奈良さんと啓林堂書店さんもスタンプラリーのスポットになっていて、スタンプを全て集めるとこの店でエピローグボイスを聴けるQRコード入りポストカードをもらえる。

岩本:スタンプラリーのストーリー設定が、猫猫が不老不死の薬を探しに日本を旅するという設定なんです。だからまずは、企画に参加してくださった皆さんにも本屋さんで参考になる本を購入していただこうと思いました。

杉山:参考になる本が「ガイドブック」ですね。表紙が猫猫と壬氏さまで、JR東海の駅係員の制服を着ているという珍しいバージョンです。

岩本:壬氏さまが駅長で、猫猫が駅員なんです。駅長はダブルのスーツで帽子に赤いラインが入っていて、駅員はシングルスーツで帽子は金色1本です。しのとうこさんにお願いしたときに、猫猫に制服を着せるというアイデアにビックリされたそうです。楽しんで描いていただいたと伺っています。