JR東海が『薬屋のひとりごと』とコラボした今回の「推し旅アップデート」。架空の中華風世界と東海道新幹線、そして奈良という異例のコラボ。しかし現地へ向かうと新幹線の中から奈良の街中のスタンプラリーまで大充実。
そして1日目は明るいうちに訪問予定が終ってしまったから、薬師寺の「薬屋のひとりごと展」に行ってみた。近鉄奈良から電車に乗り、分岐器いっぱいの大和西大寺で近鉄橿原線に乗り換えて、西ノ京で降りる。ほぼ駅前、「歴史の道」を渡れば薬師寺の冠木門だ。伽藍中央に向かう道で梅の並木が出迎えてくれる。
境内をひとめぐりする。薬師寺はもともと飛鳥の都の藤原京にあった。西暦680年(天武天皇9年)に天武天皇自身の願いによって建立が始まり、698年に僧侶が着任したという。710年の遷都に伴って平城京に移り、現在の姿になった。薬師寺は法相宗の大本山で、法相宗は奈良時代に中国から渡り、日本では現存最古の宗派とのこと。
見つめつづける女性、感動で泣いている人も
薬師寺は世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の1つで、「中国や朝鮮との交流によって日本の文化が大きく発展した時代」を示している。だから建物も「薬屋のひとりごと」の中華風世界観に通じるわけだ。
金堂におわす「薬師如来」は病気や災難から人々を救う仏様。左右に並ぶ日光菩薩と月光菩薩は、太陽や月の光のように人々を見守る仏様だ。つまり、薬師如来がお医者様とすると、日光菩薩と月光菩薩は看護師さんで、24時間体制で私たちを見守っている。
展覧会は予約制だ。私は明日の午後に予約していたけれど、今日の当日枠で私を含めて30人ほどの希望者がすべて入場できた。明日の私の枠をキャンセルしようとしたら、こちらからキャンセルできないシステムになっている。明日で予約できなかった人に申し訳ない。当日ぶんで入場できますように。
壁の至る所に「しのとうこ」さんの原画が飾られている。原作小説の表紙、本文の合間にモノクロ印刷されている絵が、原画ではフルカラーだ。額装版の販売もされていた。いくつかの作品の前で、見つめつづける女性、感動で泣いているような人もいた。アニメを見ただけの私よりも格段に「推し」ている人たちがいる。