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 それにくらべて私は小説を読んでいないから、絵の正面を占有しては申し訳ないような気持ちになる。しかもアニメ化されていない巻の絵を見たらネタバレになりそうで、そんな気まずい気分だ。グッズ購入者が付箋を貼れるコーナーがあって、なんとなく眺めていたら、薬師寺住職さんが喜びを記した付箋を見つけた。中の人も推していたんだと嬉しくなる。

 夜は奈良在住のバイク仲間がデカ盛りの店に連れて行ってくれた。通常の4杯分くらいありそうなカツ丼をたべて身動きが取れず。腹を抱えてホテルに戻る。しあわせな眠り。

「廃線押し」の友人が廃線跡の公園に連れて行ってくれた
カツ丼「推し」はこのくらい食べないと! 美味しゅうございました!

漢方薬局ではスタンプラリーのボイスで猫猫が興奮

 翌日。ビジネスホテルのロビーに大量のスーツケースやリュックが積み上げられている。なるほど、これが訪日観光客の荷物か。鹿も入りそうだ。朝食の後、その3分の1サイズのスーツケースを転がして、ならまちへ。昨日はお休みだった「菊岡漢方薬局」へ。

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 開店直後の店内には早くも女性の2人連れがいた。お薬選びでお店の女将さんと楽しそうに話している。手近な商品棚には女性向けの処方薬が並んでいるようだ。緑の箱は「陀羅尼助丸」といって、尼の字があるけれども和漢胃腸薬だった。そのほか、ハーブティ、甘茶、正月の屠蘇に漬け込む「延寿屠蘇散」も興味深い。

菊岡漢方薬局。途切れることなく客が訪れる。人気店だ

 デジタルスタンプラリーのボイスで猫猫が興奮していた。彼女の同業、興味深いものが多いのだろう。調薬室の奥に猫猫が言う百味箪笥があった。近くで見たいけれど、ガラスに囲まれた調剤室には入れない。ご主人が調剤中で、個人情報もある。中には高価な漢方薬もあるに違いない。猫猫ならなにかやらかしそうだ。

 入口近くの土間に体験コーナーがしつらえてあり、ポットが3つならんでいる。1つは「日本産手もみ甘茶」、ほかの2つは「JR東海・薬屋のひとりごとコラボ企画/漢方薬・スパイスティー試飲と利き茶」だ。「それぞれのポットのお茶を利き茶(毒味)して、何番の薬草か当ててください」とある。薬草は桂皮、生姜、クミンシード、大和当帰葉(アンジェリカ)、ハイビスカス。ひとつはすぐにわかる。もうひとつは悩む。