2022年4月、愛知県東浦町の畑に全裸のまま埋められた門田典子さん(発見時40)が見つかった事件で、7月12日、名古屋地裁の森島聡裁判長は「長時間にわたり、死の恐怖を与え、残虐だ。突発的な犯行でもなく、結果は誠に重大。人命軽視の身勝手な犯行で、被告人は反省の態度も見受けられない」とし、住所不定無職の山下克己被告(56)に求刑通り懲役28年を言い渡した。
この事件では今年3月15日、共犯の天池由佳理被告に懲役16年の判決が下されている(現在控訴中)。しかし、天池被告、山下被告が起こした事件はこれだけではない。門田さんの事件とほぼ同時期にA子さんに対して行なった拉致監禁レイプ事件でも起訴されていた。
2024年6月17日、殺人、監禁、強制性交等、強制わいせつ、死体遺棄という5つの罪に問われた山下被告は罪状認否で「すべて違います。まったく関与していない」と起訴事実を否認したのだが…。まずはA子さんに対する事件から振り返ろう。
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立ちんぼをしていたA子さんに「今日もイケる?」と…
2022年2月26日、名古屋市中区栄にある仲ノ町公園で立ちんぼをしていたA子さんは、以前にも2回買春したことがある山下被告に「今日もイケる?」と声をかけられた。
2万円で売春することに合意したA子さんは山下被告の車の助手席に乗った。山下被告の車は3列シートがあるミニバンで、運転席や助手席と2列目のシートの間にはカーテンがかかっていた。ここに天池被告が潜んでいたのだ。
A子さんはホテルに行くものと思っていたが、山下被告は名古屋市中村区にある立体駐車場に入り、「今日はここでしたい」と交渉してきた。
A子さんの3日間にわたる監禁生活
「私がイヤだと断っていると、ふいにカーテンが開いて天池が顔を出した。2列目のシートに移動するように言われ、立ちんぼ仲間の3人の女性の行方を聞かれた。知らないと言うと、天池が怒り出し、髪をつかんで頭を揺らし、『ナメてんじゃねえよ!』と胸ぐらをつかんできた。
山下に『そろそろアレを出した方がいいんじゃない?』と言われ、天池が首元にナイフを突きつけてきた。『泣いていたら殺すぞ!』と言われ、3列目のシートに移動させられた。それから3日間にわたる監禁が始まりました」(A子さん)
これに対する山下被告の説明は次の通りだ。