つまり「政治家としての小池百合子」はそこまで評価されていないが「都知事としての政策の評価」は割と高いので、小池さんは消極的だが幅広い層の都民の支持を受けて、無事に3選したということになるのです。
当初“泡沫候補”として軽視されていた石丸伸二さん、かく戦えり
今回、泡沫かなと思って当初は軽視されていた石丸伸二さんが無党派を中心に強く伸び、特に争点として「政治不信」に反応する無党派ほど強く有意に石丸伸二さんに投票する傾向があったようです。
圧倒的な知名度を誇る蓮舫さんを打ち破って、若い人(特に男性)から支持を得て、ジャイアントキリングした石丸伸二さんに注目は集まりますが、実は2014年都知事選でも田母神俊雄さんが若い人(特に男性)から人気を得て4位(約61万票を獲得)に入っているわけで、東京都知事選というのは「既存政党ではない、非自民の誰か」に投票する割合が一定数いる、と見た方が適切だろうと思います。
もっとも、安芸高田市長を不評で一期でぶん投げ、現役首長として過激なことをYouTubeで喋ってたらドトール鳥羽創業者らが支援に回り、藤川晋之助さんのような強烈な選挙のプロが連れて来られて後ろに立ったので個人献金も集まって瞬間風速的に浮上しましたという感じです。事前の5,000万選挙資金の扱いや、本人の割と支離滅裂な政治主張が飽きられてしまうと、石丸新党が仮に出来上がっても量産型みんなの党みたいなのが出来上がるだけで長くは続かないのではないでしょうか。
それでも、石丸伸二さんが20代30代男女を中心に幅広く支持を集めた背景には、前述「政治不信」を強く憂慮する、政治にまずまず関心のある有権者が既存政党への不信感をバックに石丸さんを応援した経緯があることです。その点では、先にも書きました通り蓮舫さんは改革する政治家というよりは改革される側の既存政党の人なのであって、実績はともかく言ってることは石丸さんに共感するという有権者が出るのも当然です。
ただ、特に多摩地区や全年代層の女性からは石丸伸二さん自身は不人気で、途中から知名度が上がるごとに得票加速度が失速する傾向が顕著になりました。いろんな意味で、石丸さんからすれば人気のギリギリピークのところで投票日になったので、まあまあの票差で2位になれた、というのが実態ではないかと思います。
そして、今回なぜか日本維新の会の東京では、石丸新党を応援するよという地方議員が現れ、揉め事を起こしていました。維新の風に乗って選挙に勝てた人たちが、維新の風が止んだら石丸新党に流れたさそうにしているのは人間の侘び寂びを感じずにはいられません。