2021年7月、ミュージシャン・小山田圭吾氏は表舞台から姿を消した。過去に雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』や『クイック・ジャパン』に掲載された自身の“いじめ告白”記事がSNS上で炎上し、就任したばかりだった東京オリンピック開会式音楽担当の辞任を余儀なくされたのだ。
小山田氏は炎上の直後に発表した声明文で、問題とされる雑誌の記事について「事実と異なる内容も多く記載されております」と主張している。では、何が事実で何が事実ではないのか――。
ノンフィクション作家の中原一歩氏による小山田氏インタビューの一部を『小山田圭吾 炎上の「嘘」』(文藝春秋)より抜粋して紹介する。(全4回の1回目/続きを読む)
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「全裸でグルグル巻」は本当なのか?
『ロッキング・オン・ジャパン』も『クイック・ジャパン』も、いじめの内容はもちろん、話をしている文脈も違う。ただ、これらの記事の内容が事実だったとすれば、とても“学生時代の冗談”ではすまされないような悪行と言えるだろう。
これを踏まえたうえで、私がインタビューで小山田に尋ねたい点は、大きく分けて2つあった。
ひとつ目は、小山田が声明文で「事実と異なる内容も多く記載されております」と表明しているが、「どの部分が事実で、どの部分が事実でない」のかをはっきりさせること。
ふたつ目は「なぜ事実でない話が記載されるようなことが起きたのか」だ。小山田がインタビューで嘘をついたのか、雑誌側が盛ってしまったのか。また記事の中で仮に事実と異なる部分があれば、その後、訂正をしていればすんでいたかもしれない。それを小山田はしたのか否か、だ。
最初に聞いたのは、『ロッキング・オン・ジャパン』の見出しになった部分である。
――単刀直入に聞きます。同級生を「全裸でグルグル巻にしてウンコ食わせてバックドロップ」したのは事実なのでしょうか?
小山田は「たぶんその話が一番、拡散されてしまっているんですよね」と小声で呟きながら、それでも、はっきりと「それは事実ではないんです」と断言した。
「中学生の頃に修学旅行があって、その宿泊先での出来事だったんです」