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このような出来事が報道される中、フランスではコメンテーターの意見でも巷の反応でも、「スポーツに政治を持ち込むな」という声は上がらない(主催者側は言うこともある)。
政治が生活に直結し、その意思決定が何をどう変えるかを日々意識している市民たちは、世界規模のビッグイベントには政治がつきものであることもよく知っている。そこで市民生活に悪影響が出るなら、批判されるべきは時の政治権力と分かっているからだ。
平和的なスポーツの祭典でも、そのタフな政治意識は曇らない。五輪開催が近づいてもイマイチ上がりきらないこの街の温度感には、住人たちの政治に対する冷徹な眼差しも影響しているのだろう。
まとめ
パリ五輪をめぐる独特の温度感を書き連ねてきたが、そうは言っても結局、フランスの人々はお祭り好きだ。自国の政治を誰よりも厳しくあげつらう皮肉屋の反面、国別対抗戦の勝利では老いも若きも国歌ラ・マルセイエーズを誇らしげに歌って目を潤ませる愛国心を併せ持つ。
回答者の46%が「関心がない」と答えた前述のアンケートの別項目では、52%の人が「五輪はテレビか会場で必ず観る」とも答えた。そんな愛すべきへそ曲りたちがスポーツの祭典をどう盛り上げ、楽しむのか。テレビ中継ではその様子を是非、競技とともにチェックしてほしい。