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79歳までたくさんもらえるなら、その後長生きした時のもらう金額が上記のように少なくなる、というリスクを受け止められるのかどうか、考えてみてください。

82歳以上長生きすれば繰り下げが有利になる

一方、「繰り下げ」をした場合、仮に70歳から受け取りを始めると、65歳からもらい始めるよりも42%(年間80万6400円)年金額が増えます。もし90歳まで生きれば、65歳からもらい始めた場合より、約806万円もらえる年金が多いことになります。

ただし、81歳になるまでは、65歳からもらい始めた場合よりも受取金額は少なくなります。仮に75歳で亡くなった場合、65歳からもらっていれば、2112万円受け取っていたはずが、約1636万円と約476万円少なくなってしまいます。

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これが、「繰り下げ」した場合のリスクです。

90歳まで生きた時に、トータルで806万円トクするのと、81歳までの受取金額が多い方がいいのか、どちらのリスクが大きく感じられますか?

ちなみに、2022年4月からは、受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられました。75歳まで「繰り下げ」ると、なんと増加率は84%! 年額161万2800円も増加することになります。

100歳まで長生きすれば2000万円以上のトク

仮に、100歳まで生きた場合、65歳スタートの場合よりも2419万円も多い年金を受け取ることになります。ただし、86歳になるまでは、トータルの受取金額は少なくなります。

もし、75歳で亡くなってしまったら、65歳スタートであればトータルで約2112万円受け取っていたはずの年金が「約353万円のみ」というリスクがあるわけです。

これは大きなカケですね。

84%などという増加率を掲げるということは、国は「75歳以降もらう人が増えても、年金制度は大丈夫(そんなに長生きする人は多くない)」と試算しているのではないかと邪推せざるを得ません。

ちなみに、繰り下げをしている最中に一度も年金を受け取らずに亡くなった場合は、65歳から亡くなるまでの間の年金は遺族に支払われます(繰り下げによる増加はなく、請求時点から5年以上前の分は時効となり受け取れません)。