3歳児の母・セッターの岩崎こよみの強み
――またいつかバレー界に戻ってくる可能性もありますし。
竹下 それは本人が決めることなので私には分かりませんが、結婚し、子育てが一段落したところで復帰するというバレー界の環境は整いつつあります。リーグでの復帰はもちろんのこと、日本代表入りも可能。現にセッターの岩崎こよみ選手は3歳児の母ですからね。選手人生の選択肢が広がるのはとてもいいことだと思います。
――岩崎選手のトス回しは安定しているように見えますが、竹下さんから見てどうですか。
竹下 彼女の武器は175cmと身長があるので、高いところでトスを上げられることと、元アタッカーだっただけにツーアタックなどの攻撃が得意だし、時にはブロックに加わることも。最大の武器はチーム最年長者(35歳)なので、チームに落ち着きを与えられることです。
ただ、昨年からの代表参加なので相当プレッシャーはあったと思いますね。これまで作り上げてきたチームの中に、急に加わったわけですから。でも、すんなり溶け込めたのは年の功かも(笑)。
最強の13人目は山岸しかいない
――強い姿勢を崩さない古賀選手ですが、チーム内で相談できるような選手はいるんですか。
竹下 山岸あかね選手ですね。多分、チーム内で言えないことも、彼女には吐露していると思います。古賀選手だけでなく、多くの選手が山岸選手を心の拠り所にしています。
彼女はパリ五輪では13番目のリザーブ選手として登録されました。12人の代表メンバーに選ばれなかったことは、本来なら悔しいはずなんですけど、彼女はチームを懸命に支えようとする。その姿には、私でさえ涙が出ます。若い選手などは海外遠征に山岸選手が帯同しないと「山岸さん、いないんですか……」って、ちょっと不安定になることもあるんですよね。だから今回、リザーブであってもパリに行けて本当に良かった。
真鍋監督は五輪選手選考の会見で、山岸選手についてこう語っていました。
「13番目の選手が日本チームにとって最も効果的になる方法をスタッフと話し合い、最強の13人目は山岸しかいないという結論になった。彼女の見えない力は、目標を達成するためには必要な最後のワンピースと考えています」
山岸選手はチームになくてはならないバランサーなんですよ。