――監督に就任された2016年、選手がいない状態から僅か3年間で、V2からリーグトップのVリーグにチームを昇格させました。早すぎませんか。
竹下 選手たちに助けられました。早くトップリーグに昇格させないと、スポンサーさんたちにも見放されてしまいますからとにかく必死。引退した選手たちにも声をかけて復帰してもらい、何とか戦える人数を揃えた。
復帰した選手たちは、チームの現状を理解してくれ、本当に頑張ってくれましたね。
息子から「かあちゃん、今は昭和じゃないんだよ」と…
――選手たちには厳しかったんですか。
竹下 当初は……。でも今の子たちにはプレッシャーをかけすぎるのも、あまり良くはないんじゃないかってことが分かったんです。だから、気持ちよくプレーしてもらえるような雰囲気作り、言葉がけに方針を変えました。私たちの頃とは時代や育った環境も違うので、彼女たちに適した接し方ってやっぱりあるんですよ。
うちの小学生の長男にも言われますもん、ちょっとでも精神論的なことを言うと「かあちゃん、今は昭和じゃないんだよ」って。
姫路で監督を務めた経験が代表選手の接し方にも活きています。眞鍋さんは「お前たちはよく竹下にそんなに気軽に話しかけられるな。竹下はめっちゃ怖いんだぞ」といじってきますが、選手たちはきょとんとしている。
今の選手は純粋な強い執念でコートに立っている
私たちの頃は、1964年東京五輪金メダルの“東洋の魔女の誇り”とか、女子バレーの伝統を絶やしてはならないという思いで日の丸を背負っていました。でも今の子たちは伝統を感じながらも、ただ純粋に「勝ちたい」「メダルを獲りたい」「最高の自分を表現したい」という強い執念でコートに立っている。
伝統をモチベーションにしようが、メダルをモチベーションにしようが、競技に取り組む意識の高さは同じなので、時代に呼応した方がいいですよね。
彼女たちがパリでどんなプレーを見せてくれるか、ドキドキわくわくしています。