「行政事業レビュー」と名前を変えて
一時は一世を風靡した事業仕分けでしたが、熱しやすく冷めやすい、とはよく言ったもので、すぐに世論は関心を失っていきました。ですが、関心が失われた後も事業仕分け自体は続いており、「行政事業レビュー」と名前を変え、仕分け人に有識者を入れるなどの変更が試みられます。そんな最中、2012年の衆院選で民主党は敗北し、自民党が政権に返り咲きます。自民党政権は、民主党政権のやったことを否定しがちと思われているかもしれませんが、実際には継続されている政策も少なくありません。行政事業レビューはその一つで、自民党政権下でも引き続き実施されることとなり、今日に至っています。
自民党政権下での行政事業レビューは、民主党政権期のものから細かい変更がいくつかありますが、大枠は変わっていません。つまり、「仕分け人」が事業担当者と口頭の問答を繰り返して、事業の妥当性を吟味するわけです。ただし、最近の運用では「仕分け人」の多くは有識者(大学の研究者や経営者、コンサルタント等)で、政治家が行政事業レビューに関わることはあまり見られなくなりました。動画サイト上で映像が公開されている映像を見れば分かりますが、かつての事業仕分けの熱気あふれる様子とは違って、現行の行政事業レビューは淡々と進んでいるケースが多いようです。
こうした性質の変化は善し悪し両方あるでしょうが、初期の事業仕分けのような熱量を維持するのは簡単ではなかったのでしょう。実際、事業仕分けのブームの時は、自治体でも取り組むところが相次ぎましたが、仕分け人と行政側とが過度に対立的になることや、行政側の負担感の大きさ等の課題が浮き彫りとなり、休止・廃止している例も多くあります。