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「泣きじゃくり、抱き抱えられた選手も」あれから3年…前回金メダルのスケボー女子がパリ五輪予選でさらに“劇的な進化”のワケ〈世界ランクTOP10に4人も〉

「泣きじゃくり、抱き抱えられた選手も」あれから3年…前回金メダルのスケボー女子がパリ五輪予選でさらに“劇的な進化”のワケ〈世界ランクTOP10に4人も〉

スケートボード(パーク)男子女子代表

18時間前
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 最近の採点傾向だと、こういったセクションを使ってストリートで見られるようなトリックを入れた方が高得点に繋がりやすいので、そこを各々がどう判断し、自身の持ち技と照らし合わせて組み込んでいくかがキーになりそうだ。

あえて王道で勝負しない開心那、高難度トリックのアリサ・トルー

 それらを前提にすると、際立つのが開心那のスタイル(個性)だ。彼女はパークスタイルで王道と言われる「540(空中で身体を1回転半する大技)」などの空中戦で勝負することはせず、ストリートスケーター受けするトリックチョイスをする。

開心那はこの50-50グラインドのようにストリートライクなトリックを得意とする ©︎Yoshio Yoshida /X Games

 ボードとウィールをつなぐ金属パーツ、トラックを使ってコース最上部の縁をゴリゴリと削るグラインドや、ボード部分で滑らせるスライドがそれに当たるのだが、他にも女子では誰も触ることのないコース外に設置されたセクションを積極的に使うのも特徴だ。

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 派手さはないものの、玄人が見て唸る類のトリックで高得点を叩き出す。コースとの相性がバッチリとハマれば、彼女が金メダルを獲得する可能性はグッと高まるだろう。

 エアートリックではアリサ・トルーが他を引き離すバリエーションを持つ。マックツイストという高難度トリックをスイッチスタンス(左右の足を入れ替えて真逆のポジションをとること)で、さらに「900(空中で身体を2回転半する超大技)」も女子史上初の成功者となっている。

アリサ・トルー ©︎Yoshio Yoshida /X Games

 パークスタイルで「900」を見ることはないだろうが、女子でスイッチスタンスをここまで乗りこなせるのは彼女しかいない。その出来もメダルの色を左右する大きなポイントになるだろう。