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今後発生する大量相続

 東京都内で住宅を買ったり、借りたりすることに絶望的になっている人たちに朗報がある。2024年1月1日現在東京都人口は1391万人であるがそのうち23%に該当する314万人が65歳以上の高齢者だ。また東京都発表の2020年における都内で世帯主が65歳以上である所謂高齢者世帯は206万1千世帯に及ぶが、そのうちの43.4%にあたる89万5千世帯が高齢者単身世帯だ。さらに75歳以上の後期高齢者単身世帯は51万世帯になる。

写真はイメージ ©moonmoon/イメージマート

 結論を急ごう。この高齢者単身世帯のうちの多くが、夫婦であればすでに相方が亡くなり一人暮らしになった高齢者だ。どんなにお元気でも人には寿命がある。これからの都内で間違いなく生じるのが大量相続の発生だ。そして相続の場合、夫婦のうちの片方が亡くなる一次相続のケースでは居住している住宅(戸建てもマンションも)が売却や賃貸に供されることは少ないが、ここで掲げた高齢者単身世帯で相続が多発する事態になることは容易に予想される。これが二次相続と呼ばれるもので、家を含めた財産を相続する相続人は、親が80代以上であれば子供である相続人は50代または60代。すでにマンション等を所有しているケースが圧倒的に多いだろう。

 どうなるか。相続した、住み手のいなくなった家(戸建てもマンションも)を売却する、あるいは賃貸に供することになる。そしてどちらの決断もしない一部の家が空き家にカウントされていくのである。

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Z世代が主流になる頃には…

 東京都内の不動産マーケットは、国内外の投資マネーが集まるような一部のブランドエリアを除き、都区部も含めて大量の相続住宅が売却、あるいは賃貸に供され、一部が空き家として放置し続けられるようになる。今の高齢者世帯の状況から推測するにおおむね2030年前後には大量相続の号砲が鳴ることになる。

 既存の空き家も含め、マーケットには大量の売却、賃貸物件が拠出される。選べる住宅は選り取り見取り。リフォームマーケットも活況となり、中古住宅をフルリノベーションして自分らしい住宅に仕上げるようなプランが世の中に溢れかえることだろう。そう、Z世代が社会の主流に登場し始める頃には、こんなセリフが登場することになりそうだ。

「えっ、家って多額のローンを組んで買うものだったの? きゃっはっは」