映画『ラストマイル』が8月23日に公開される。世界規模のECサイトで働く男女が、のちに日本中を震撼させる謎の連続爆破事件に立ち向かう物語だ。今作が一目置かれている理由は、TBSの超人気ドラマ『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(2022年)を手がけた最強チームが再集結したからである。

 脚本・野木亜紀子、プロデューサー・新井順子、監督・塚原あゆ子、主題歌・米津玄師。さらに今作は『アンナチュラル』や『MIU404』と同じ世界線のシェアード・ユニバース方式であることが明かされ、石原さとみや綾野剛といった豪華キャストが再登板することも発表された。

『アンナチュラル』の演技が評価され、東京ドラマアウォード2018で個人賞・主演女優賞を受賞した石原さとみ ©時事通信社

“不自然な死”の真相に迫る『アンナチュラル』

 架空の研究機関・UDIラボを舞台に、法医解剖医・三澄ミコト(石原さとみ)が死因究明のスペシャリストたちと共に“不自然な死”の真相に迫るドラマ『アンナチュラル』。今作が6年以上前のドラマであることにシンプルに驚く(どれくらい前かというとLINEを交換する際に“ふるふる”が用いられるくらい前だ)。

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 その第1話を見たとき「これから日本のドラマは変わるかもしれない……!」と気持ちが高ぶったことを、今も鮮明に覚えている。

2018年に放送された『アンナチュラル』(DVDボックスより)

 毎話センセーショナルな事件を扱いながらも、今作の根底にあるのは、理不尽に口を塞がれた死者、つまり「声を上げられない弱者たちへのまなざし」だ。死後も誹謗中傷の的になった男性や行き場を失い監禁されていた少女、仕事に忙殺された作業員……。最後の一言を残すことすら許されなかった彼らのために、ミコトはメスを執る。

 その魂が安らかに眠ることを祈る作品でありながら、『アンナチュラル』がなによりも肯定するのは“生きること”そのものだ。弱き者の声を汲むことも、誰かの死から始まる法医学も、すべては“今を生きる私たち”に繋がっていることを『アンナチュラル』は示している。