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「君は12人中13番目の補欠だったんだ」“できない君”だった新人が、広告史に残る名コピー「モノより思い出。」をひらめいた最強《思考ツール》とは

2024/07/26

source : ライフスタイル出版

genre : ビジネス, 経済, 企業, 働き方, 読書, ライフスタイル

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 僕の信念は、「良いものが売れたら、良い未来がくる」、その一点に尽きます。理想主義に思われるかもしれませんが、今どき消費者のほうだって、安ければ何でもいいわけではなく世の中をダメにしそうなものは買い控えます。「地球を汚しまくってるけど、素敵なブランドです」というのは感覚としてあり得ない。

 単なる消費から、「共感と参加」が購買行動のベースになってきた今、良いものをつくって売る=世の中を良くするという理想に立って、持続可能なビジネスをデザインすることが結果的に人の幸せに資するものだと信じています。

“幸せの総量”が増える新しい仕組みを

――「挽肉と米」では、儲けた利益を現場の働く人たちに還元する仕組みをつくったそうですね。

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小西 儲けが株主や一部の上層部ばかりに還元されるのは全くのナンセンスで、若い人たちにまわして“幸せの総量”が増えたほうがいいに決まってるんですよ。事業がうまくいったら分配されるのは当然のことで、それを最初からデザインしておくのはすごく重要なこと。それが創業者3人の共通の思いです。

 具体的には、「挽肉と米」の事業モデルは海外でも展開していますが、海外パートナーからいただくロイヤリティのすべてを国内の出店拡大に使うのではなく、できるだけ働く人の給与を上げたり、ストックオプションにまわす形にしています。飲食の仕事は「すごく面白いし格好いいし儲かりそう!」と若い人たちが思える新しい仕組みをつくりたいんです。儲かること=幸せな未来をつくることでありたいから。

――アイデアの力ひとつでそんな未来が生まれるのは実にワクワクしますね。

小西 新著は、仕事の壁を突破して幸せな未来を生む、強力な思考ツールを100厳選しました。僕の失敗談や挫折も赤裸々に盛り込みましたが、壁にぶち当たったときにどう乗り越えるかの方法論は、業種・業界を問わずきっと大きな助けになると思います。

 多種多様なクライアントと仕事をするなかで磨き抜かれた思考ツールなので、汎用性が高くて本質的なものばかり。みなさんのお役に立てると嬉しく思います。

『すごい思考ツール』(小西利行 著)
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【EVENT】
『すごい思考ツール』刊行記念イベント
「仕事のアイデアのつくり方」小西利行✕けんすう
8月2日(金)19時~20時30分 六本木 蔦屋書店にて
https://store.tsite.jp/roppongi/event/shop/41489-2119060709.html

小西利行(こにし・としゆき) 
POOL inc.Founder、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター。博報堂を経て、2006年POOL inc.設立。言葉とデザインでビジョンを生み、斬新なストーリーで世の中にムーブメントをつくり出している。主な仕事に、「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」「PlayStation」「モノより思い出。」などの1000を超えるCM・広告作品、「伊右衛門」「こくまろカレー」などの商品開発、ハウス「母の日にカレーをつくろう」、スターバックス「47 JIMOTOフラペチーノ」など多数のプロモーション企画も担当。「Visional」のブランド開発、三菱鉛筆のリブランディングも成功させた。
また2017年に施行された「プレミアムフライデー」の発案・企画・運営にも参画。都市やホテル開発では、越谷「AEON LakeTown」、京都「GOOD NATURE HOTEL」、立川「GREEN SPRINGS」などをトータルプロデュース。話題のハンバーグ店「挽肉と米」オーナー兼クリエイティブ・ディレクターでもある。著書に『伝わっているか?』『すごいメモ。』『プレゼン思考』『売れ型』などがある。

「君は12人中13番目の補欠だったんだ」“できない君”だった新人が、広告史に残る名コピー「モノより思い出。」をひらめいた最強《思考ツール》とは

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