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「懐かしさを感じさせる対象」は、自国の文化から発信されたものだけに限らないということだ。隣国である日本の文化もどんどん発掘する。たとえば2年前には、1990年代に日本で流行した「ギャルピース(ピースを下に向けて腕を伸ばすポーズ)」が韓国の若者の間で広がった。日本で「懐かしい」と位置づけられるものは、韓国でも同じように捉えられる傾向にあるのだ。

「ニュートロ」のもうひとつの特徴は「最新のアレンジを加えて、古いものに新たな味を加えること」。特にこれはファッションで顕著で、ハニの髪型はいわゆる“聖子ちゃんカット”よりも短めのショートヘアだった。当時のイメージを残しつつ、現代のスタイリングにも合うようにしたのだろう。

NewJeansのXより

ほとんどのヒロインが“聖子ちゃんカット”だった

 その一方では、SNS上で一般ユーザーが投稿した「ハニをより聖子ちゃんカットに近づけ、あだち充風に描いたイラスト」も話題になり、韓国人の松田聖子への関心はさらに高まった。7月2日、韓国の通信社ニューシスは“聖子ちゃんカット”についてこう触れている。

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「松田聖子は“聖子ちゃんカット”というヘアスタイルを流行させるほど、当時の日本の大衆文化を象徴する人物だった。『H2』『ラフ』などでファンを獲得した日本漫画家・あだち充のもう一つの名作 『タッチ』のヒロイン・浅倉南は聖子をオマージュしたキャラクターだ。特に髪型がよく似ている」

『タッチ』1巻の表紙(あだち充/小学館)

  KBSも“聖子ちゃんカット”についてこう紹介している。

「80年代の日本のマンガやアニメのヒロインのほとんどが“聖子ちゃんカット”だったという点も彼女の人気の高さを見せつけている」

1980年「青い珊瑚礁」リリースから3ヶ月後、18歳当時の松田聖子 ©時事通信社

 ちなみに、K-POP歌手が日本公演で松田聖子の歌を歌うのは今回が初めてではない。2015年にはKARAに当時加入したばかりのメンバー、ホ・ヨンジが日本でのコンサートツアーで同じく松田聖子の「天使のウインク」を歌ったことがあった。結果はハニと同じく、一気に日本のファンのハートを鷲掴みにした。

「青い珊瑚礁」が迷いなく浮かんだ

 NewJeansをプロデュースするミン・ヒジン氏は7月3日、「朝鮮日報」のインタビューにこう話している。

「同世代の他のグループには見られない雰囲気を演出したら面白いだろうと思った。そうした時に迷いなく思い浮かんだのが『松田聖子』の『青い珊瑚礁』だった」

 ニューシスは、ハニがベトナムとオーストラリアの二重国籍であることに言及し、「彼女が韓国でK-POPアイドルになって日本語の曲を歌う姿は、音楽には国境がないということをあらためて認識させた」と述べた。そんな瞬間に松田聖子の存在があった。

 時代が流れていくほどに、その存在感が増していく。日本の「時代を象徴する存在」として韓国にも伝わっていく。松田聖子という歌手の凄みを、あらためて感じさせる話だ。