「満塁ホームランのステージ」と評された
韓国の元スポーツ紙デスクが“松田聖子リバイバル”の経緯を解説する。
「『青い珊瑚礁』をカバーしたハニのステージは、40~50代のファンを中心に大きな反響があった。これを受け『NewJeansは日本でもスゴイらしい』という反応が韓国でも広まり、その評判とともに松田聖子の名前も知られることとなったのです」
NewJeansといえば2022年デビュー後、わずか1年で米ビルボードで1位を獲得した実績で知られるが、日本でも2日間の東京ドーム公演を成功させるなど、高い支持を得ている。今年4月から5月にかけては所属事務所HYBEの内紛が韓国内外で大きく報じられた。この影響からか6月には「新作アルバムの初動販売量が前年比半減」といったニュースもあった。
しかし東京ドーム公演大成功でそのイメージを一気に挽回させた形になっている。中でも、ハニが『青い珊瑚礁』を披露したステージは「東京ドームで打った満塁ホームラン」(「国民日報」)とまで評された。
話題はそれだけでは終わらなかった。これをきっかけに、韓国独自の視点から「1980年代の松田聖子」が読み解かれていったのだ。
韓国で松田聖子は広く知られた存在ではなかった
そもそも韓国で松田聖子は広く知られた存在ではなかった。
「『青い珊瑚礁』は韓国ではそれほど知られた楽曲ではありませんでした。しかし、ノスタルジックな淡い空気が漂うハニのステージは、大衆から好感を得ています」(KBS)
この楽曲が発表された1980年は、韓国で「日本文化の流入制限」が存在した時代だ。韓国は独立後、1990年代の終わりまで映画・音楽・漫画といった日本大衆文化を規制してきた。日本の芸能文化が韓国に入ることにより、「韓国の芸能文化が淘汰されてしまう」「その状態は文化的な再侵略を想起させる」と考えられていたのだ。