韓国でいま、松田聖子の注目度がかつてないほどに高まっている。公営放送KBSはこう伝えている。

「80年代の韓国にイ・ソニ(※韓国で80年代に多くのヒット曲を出し、国民的歌姫とよばれた女性歌手)がいたとするのなら、日本には松田聖子がいました」

 事の発端は、K-POPガールズグループであるNewJeansのメンバー・ハニが、松田聖子の「青い珊瑚礁」をカバーしたことだった。今年6月に行った東京ドーム公演で、日本のファンに向けて披露したそのステージはSNS等を通じて韓国まで届き、たちまち関心を集めた。

NewJeansのハニ ©時事通信社

なぜ韓国で松田聖子がここまで話題になっているのか

 松田聖子「青い珊瑚礁」は1980年7月1日にリリースされた。彼女のシングル売り上げランキングでは「あなたに逢いたくて~Missing You~」や「ガラスの林檎(B面が「SWEET MEMORIES」)」に上位を譲っている。それでもデビュー曲「裸足の季節」に次ぐ2曲目として、彼女の人気を一気に高めた楽曲として知られる。

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1980年に発売された「青い珊瑚礁」(CDジャケットより)

 ハニのステージから1ヶ月が経過しても話題が消えることはなく、韓国語で「青い珊瑚礁」を意味する「プルンサノチョ」が高い関心を得ている。

 松田聖子のオリジナル版も広く聴かれ、韓国の音楽配信サービスでも上位にランクイン。「Spotify」では6月下旬以降、同曲のストリーミング回数が530%増加。韓国の主要音楽チャートの「Melon」でも、検索ランキング1位を獲得した。ネット上には松田聖子を「発見」した人の、韓国語のコメントが多数見られる。

「この曲は100年後に聴いても爽やかに感じるだろう」
「このルックスにこの歌唱力となると、トップに立たないわけがなかったでしょう」
「ハニのカバーを聴いてから来たんですが、原曲を何回か聴くと、ハニよりもこっちの方が頭に残ります」

 なぜいま、韓国で松田聖子がここまで話題になっているのだろうか? そこには韓国で起きている“あるブーム”の影響がある。