2023年のK-POPシーンは少し大げさに言えば「ガールズグループの天下」だった。
米カリフォルニアで開催された世界的な音楽フェスティバル「コーチェラミュージックフェスティバル2023」でアジア出身アーティストとして初めてヘッドライナーを務めたBLACKPINKは世界34都市・全66公演という大規模なワールドツアーを成功させ、「第4世代」といわれるK-POPガールズグループのaespa、IVE、 LE SSERAFIM、NewJeansなどは強固なファンダム(※熱狂的なファンたちのこと)と大衆性を獲得し、次々に世界進出を果たした。
中でも、第4世代グループの中で最も遅くデビューしたNewJeansは、韓国で「オンセニュー」(=全世界がNewJeans)という流行語が生まれるほど、爆発的な人気を誇っている。
敏腕プロデューサーが生み出したNewJeans
NewJeansは、韓国の大手芸能事務所「SMエンターテイメント」出身のアートディレクターであったミン・ヒジンが、BTSが所属する事務所「HYBE」のバン・シヒョク代表から全権を委任されてつくり出したガールズグループだ。
ミン・ヒジンは少女時代、SHINee、f(x)、Red Velvetなどの「グループ・コンセプト」を打ち出してヒットさせた功績があり、K-POP界の「ミダスの手」(※ギリシャ神話に登場するミダス王が、手に触れたものを全て黄金に変える力を神から授かったということからのたとえ)とも呼ばれるほどの敏腕プロデューサーである。
「平均年齢は16歳」史上最年少でのデビュー
HYBE傘下のレーベル「ADOR」の代表に就任したミン・ヒジンは、2019年に7ヶ国19都市を回るグローバルオーディションを開催し、ミンジ、ハニ、ダニエル、ヘリン、ヘインの5人の少女を選抜し、2年間の練習生期間を経て2022年7月にデビューさせた。当時のメンバーの平均年齢は16歳で、K-POPガールズグループ史上最年少でデビューすることになった。
NewJeansは、従来のデビューとは全く異なるスタイルで世に放たれたため、K-POPアイドルの中でも最も衝撃的なデビューを果たしたと言えるだろう。その、K-POPの定石に縛られない「新しさ」と「自由さ」は、韓国のK-POP専門家たちをも驚かせた。