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――やってしまったことについては謝罪し、やっていないこと、言っていないことについては否定しよう、と。

小山田 そうですね。自分が学生時代に何をしたか、何をしなかったかということは覚えていても、取材で何を話したかはかなり記憶があやふやなのも事実でした。「本当にこんなことを言っただろうか」と思う部分もありますが、録音が残っていないので自分でもわからないんです。当時の僕が露悪的に話してしまった部分もおそらくあり、その責任は間違いなく自分にあると思っています。

 

「これだけで分かってもらえることではないだろうな、と思っていた気がします」

――それでも、翌日の夕方には小山田さんの声明文が発表されました。

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小山田 深夜4時に書き始めて、一通り終わった時には朝の8時でした。それを家族に見てもらって、マネージャーと相談して、夕方にHPにアップし、SNSには自分で投稿しました。

――「これで分かってほしい」というような気持ちですか?

小山田 分かってほしい……というよりは、これだけで分かってもらえることではないだろうな、と思っていた気がします。ちょっと一言では言い表せない状態でした。

――この時の声明文では、辞任には言及されていません。その選択肢は頭をよぎっていましたか?

小山田 人に一番迷惑をかけないようにするにはどうすればいいんだろうとは考えてましたが、もう次の週にオリンピックが迫っている状況だったので、その時は僕が勝手に「辞めます」と言う方が迷惑をかけるという気持ちが強かったです。辞めるという選択肢自体が無いと思っていました。

 

――確かに残り8日で音楽が使えなくなったら開会式をどうするんだろう、と。

小山田 僕が作ったのは最初の5分20秒ぐらいでしたけど、やっぱりそれなりに時間はかかりましたからね。自分が辞めて、それから作り直して間に合うとはとても思えない状況だったので。

――しかし現実には、声明文を出しても事態は全く落ち着きませんでした……。

小山田 テレビでもこの話がニュースで流れ始めて、いよいよ精神的に追い詰められていきました。