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「ドラゴンボール」の展開に行き詰った鳥山明さんに「どうしたらいい?」と相談されて…《“レジェンド”辻真先(92)が明かす秘話》

「ドラゴンボール」の展開に行き詰った鳥山明さんに「どうしたらいい?」と相談されて…《“レジェンド”辻真先(92)が明かす秘話》

7時間前
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 でも、鳥山さんの場合は、自分を見出してくれた年上の編集者である鳥嶋(和彦)さんがどんどん出世して、最後は「少年ジャンプ」の編集長にまで上り詰めてしまった。その後も偉い編集者ばかりが担当につき、おそらく控え目な鳥山さんの性格を考えれば、思いつきのアイデアを打ち明けるどころか、背伸びしながら話さなければいけない状況が多かったのではないでしょうか。

「辻さんどうしたらいい?」

 赤塚賞の審査会で、たまたま私と鳥山さんの二人だけが早めに会場に到着した時などは、「ドラゴンボール」の話の展開に行き詰っていた鳥山さんが、「辻さんどうしたらいい?」と聞いてきたものです。私は「SFにして、タイムスリップとか使えば?」と提案しました。我ながら良いアイデアだと思ったのですが、鳥山さんは「それ、この間やっちゃったんだよ」と泣きべそというか、泣き笑いの表情を浮かべていました(笑)。あれだけ長く連載を続けていれば、それはそうですよね。その時の鳥山さんの表情を今も鮮明に覚えています。

 考えてみれば、「ドラゴンボール」も最初は主人公の孫悟空が7つのボールを集める冒険漫画でしたが、その設定からどんどん離れて、フリーザやセルなど次々と現れる強敵と戦うバトル漫画へと変化していきました。しかし、バトル漫画というジャンルは大変なもので、物語を面白く展開するとともに、アクションの場面も魅力的に描かなければなりません。それを一人でやるのは大変なので、バトル漫画は原作と作画を分けて、二人体制にすることが多いんです。「空手バカ一代」は原作が梶原一騎さん、作画がつのだじろうさん、「北斗の拳」も原作が武論尊さん、作画が原哲夫さんと、バトル漫画の名作は、たいてい二人体制から生み出されています。それを鳥山さんは一人でやっていたわけですから、驚嘆するほかありません。

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辻氏 ©文藝春秋

 鳥山さんが描くメカや乗り物の絵も天下一品ですよね。鳥山さんの「画家」としての資質が見事に発揮されています。「ドラゴンボール」の単行本の表紙絵や扉絵では、悟空がバイクに乗ったり、戦闘機に乗ったりしている場面が、よく描かれていましたが、精緻な絵にいつも圧倒されました。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「手塚治虫と鳥山明の仕事術」)。

 

全文(7000字)では、辻氏が、二人の人柄、作風、仕事ぶり、そして時代背景などを比較しながら、貴重なエピソードを紹介しています。「手塚氏は作家で、鳥山氏は画家」と評する真意とは? 

文藝春秋

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