『スター・ウォーズ』シリーズのレイ役で大ブレイクを果たして以来、デイジー・リドリーは、違った映画でさまざまな役に挑んできた。だが『時々、私は考える』は、彼女の演技力が最も光る映画だ。
オレゴン州の小さな町を舞台にしたこのインディーズ映画の主人公は、人付き合いが苦手な若い女性フラン。昨年のサンダンス映画祭でお披露目されると、共感の声がたっぷりと寄せられた。
「映画館にはほかの人たちもいるけれど、観ている間は話せないから、終わった後に感想を話したいという衝動に駆られるのではないかしら。他人とつながりたいのにそうできないでいる人は、たくさんいる。そんな人たちがフランをリアルだと感じてくれて、とても嬉しい」
フランの生活は同じことの繰り返し。オフィスではおしゃべりをする同僚をよそに黙々と仕事をこなし、帰宅すると、ひとり暮らしのアパートで簡単な食事をする。
「言葉を交わさないにしろ、オフィスのシーンで私はみんなと一緒の場にいる。アパートのシーンの撮影が始まると、すごく孤独で、フランが身を置く状況が、もっと理解できたわ。フランはもっと社交的になれたはず。でも、時間が経つにつれて、そこに入っていくのはますます難しくなる。彼女は違う生活を望んでいるのに得られないでいるのだと、あのアパートで、私は強く感じたわ」
だが、ある日、新たにロバートという男性が入社してきたおかげで、フランにも変化が起きる。とはいえ、突然にして明るくおしゃべりな人になれるわけではない。
「過去の出演作と違って、この映画で私は走り回ったり、大きなことをやったりしない。だけど、この映画の最初と最後で、フランには確実な変化がある。最後のせりふを読むたびに、私は泣いたわ。自分はほかの人みたいに面白くない、優れていない、自分には価値がないと思うことは、誰にだってあるでしょう。フランが最後に取る行動は、勇気のある行動なの」
そう語るリドリーは、まもなくまた撮影現場で走ったり暴れ回ったりすることになりそうだ。5年前の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でレイ役は終わりだと思っていたら、レイを主人公にする新作ができることになったのである。
「予算や撮影日数でいうと『スター・ウォーズ』は私が出た最大規模の映画で、『時々、私は考える』は最小規模の映画。どの仕事にも発見があるし、みんなと一緒に良いものを作ろうとするのは同じ。ここ数年、私は違うタイプの映画に出る機会を得られた。また『スター・ウォーズ』の話が来るとは思いもしなかったけれど、ファンと同じように興奮しているわ。初めての時と同じくらいにね」
そんなリドリーにも、いつか絶対にやりたいことが。
「ミュージカルに出たいの。インタビューのたびに堂々とそう言ってきている私は、かなり恥知らずよね(笑)」
歌って踊る彼女もぜひ見てみたい。
Daisy Ridley/1992年ロンドン生まれ。イギリスのテレビドラマへのゲスト出演やインディーズ映画を経て『スター・ウォーズ』シリーズのレイ役に大抜擢される。最近の出演作に『オリエント急行殺人事件』『オフィーリア 奪われた王国』『カオス・ウォーキング』など。
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映画『時々、私は考える』(7月26日公開)
https://sometimes-movie.jp/