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「ああ、これがふるさと納税で有名になった泉佐野ですね」で終われない“この町の本質”

 ……と、こんなところで話を終わらせてしまってはいけない。泉佐野駅の南側の駅前広場とその周辺を眺めて、ああここがふるさと納税で有名になった泉佐野なんですね、などと思って終わっては、この町の本質を見過ごしてしまうのだ。

 

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 泉佐野という町の大きな個性は、南側ではなく北側にある。高架下を抜けて北側に出ても、広場というほどの広場はなくて、せいぜい小さな公園があるくらい。タクシーやバスが停留して客を待つようなスペースはまったく用意されていない。駅前からすぐに生活道路、というほうが正しい。

 
 

 ただ、それでも駅前からまっすぐ北に向かう道は商店街だ。現代的な商店街というよりは、昭和の面影の商店街。すぐに交通量の多い府道204号線にぶつかるが、それを渡った先にも駅前通りは続く。そして、いかにも古めかしい昭和のアーケードが待ち受ける。

 
 
 
 

 アーケードの傍らには古い銀行の建物が建ち、そこから東に向かう商店街。さらに北側の路地の中に分け入ってゆくと、そこはもう昭和というよりは大正、明治、いや江戸の昔かと思うような、そんな木造の建物がひしめきあっていた。

 
 

 アーケードの北側の一角は、ほとんどがクルマ1台が通れるかどうかという細い路地ばかり。それがあちらこちらへと入り組んでいるものだから、自分がどこにいるのかもわからなくなってくる。

 目印になるような建物がほとんどないというのも、迷路のような路地を形作っているのだろう。ほとんどは古い木造家屋だが、ところどころに空き地があったり、真新しい戸建て住宅やアパートになっていたり。古い木造のままの建物も、人が住んでいないのか廃屋になりつつあるような建物もある。こうした古い建物を維持し続けてゆくこともなかなか大変なのだろう。

 

 それでも、基本的には昔のままの木造の建物が集まる路地である。その中をさまよい歩いていると、まるでタイムスリップしたような気分になれる。名の知れた観光地にあるような武家屋敷の町並みなどとはまた違った、庶民の暮らしが息づいているような自然な街並みだ。