阿字マークと子供たちの名前のタトゥー
――“阿字”とは、「梵語(サンスクリット語)の母音の最初におかれる音にあてられる文字」で、「観ずることで真理を体得できる」とされるものですね。
山田 私の背中には、阿字マークのタトゥーが入っています。阿字マークの周囲を5人の子供たちそれぞれの名前の梵字が囲んでいるデザイン。入れる時は痛かったけど、子供たちを背負っていくという意思表明と——あとは、恵観先生への感謝の気持ちですね。恵観先生は常に人の助けになろうとされていますが、私も一緒の思いなんです。今、先生が少し体調を崩されているようにも見えるので、感謝を述べつつ、私が“池口恵観の弟子”であることを世にどんどん出していきたくて。
――池口さんの息子さんである池口豪泉さんとも親交があるそうですね。
山田 高野山伝燈大阿闍梨や烏帽子山最福寺貫主を務めておられます。豪泉先生にも様々なことを相談させて頂いていて、おかげで安心を得られています。強く感謝を伝えたい、もう一人の方ですね。
人のためだとめちゃくちゃ力が湧く
――池口さん親子とは“同志”なんですね。
山田 恵観先生に、「人を救うことが、よう子ちゃんの役目なんだよ」という風に言われました。若い時は自分が良ければいいと思っていましたが、今は全くそういう考えはなくなったんです。自分のためと思うと全然力が湧かなくて、人のためだとめちゃくちゃ湧くんですよ。
トー横キッズの支えになろうとするメンバーと一緒に、新宿・歌舞伎町に行ったことがあるんですが、メンバーは誰もその子たちに心を開いてもらえなかったですね。でも、いじめに遭ったことのある私は、その子たちの心の中に入ることができる。この子たちのために私に何ができるかを考えていきたいですね。
――SNSで悩みを相談されることも多いとか。
山田 20年くらい前から、いじめや親の虐待、学校に行けない子たちからの相談が多く寄せられます。弱っている子に元気を与える自信が私にはなぜかあって、みんな笑顔になるんですよ。閉鎖病棟に入っていた子と2年間一緒に過ごした時は、薬の過剰摂取もなくなり、すっかり元気になりました。でも、私がその子から離れて、地方で3日間過ごしている間に、自殺してしまったんです。私が100人いたら、100人の子と一対一で一緒にいられるのに。でも、実際、山田よう子は1人しかいないから、それはできないですよね。