「ダンサー=不良」という偏見が染み付いてしまったワケ

――「クリーンなもの」とはどういう意味でしょう?

RAM ブレイキンを含めて、ダンスは「不良の遊びだ」と思われていることが多くて。「派手な服や髪型の人が多い」という見た目によるイメージもあると思います。あとは、昔は外で練習することが多かったのも影響しています。

 今はダンススタジオがたくさんあって、屋内で気兼ねなく練習できるようになりました。でも、20~30年前はそういった場所がなく、公園や駅前の広場など、外で練習する人が多かったと聞いています。ダンスで体を動かす音や練習時に流す音楽がうるさくて、近隣の人に迷惑をかけることもあったそうです。

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 派手な格好の人たちが集まって、大きい音で曲を流しながら公園や駅前を占領して、やっと立ち去ったと思ったら、あたりにはゴミが落ちている、ということもあったみたいで。

 20~30年前のことなので、私が直接見聞きしたわけではありませんが、実際に爆音で曲を流したり、ゴミをポイ捨てしたりするのは一部の人だったと聞いています。でも、それによって「ダンサー=不良」というイメージが染み付いてしまったようです。

ネガティブなイメージが変わることを期待

――かつてのイメージが、いまだに残っている。

RAM 最近は、マイナスなイメージを払拭するため、ダンサーのマナー向上のために活動している先輩ダンサーやスタッフもいます。今はブレイキンのイベントをやる場合、曲の音量やごみ捨てルールも徹底しているんですよ。それでも、一度ついたイメージは、なかなか払拭できなくて。

 でも、パリオリンピックの競技種目に採用されたことで、染み付いたネガティブなイメージが払拭されるのではないかと思っています。

 

――今回のオリンピックで、競技としてのブレイキンを初めて観る人は多いかもしれません。

RAM そうだと思います。世間の方々が、ブレイキンがどんなものかを知らないから、偏見がなくならないのかなと。オリンピックを通じて、まずはたくさんの人に知ってもらう。そして、選手たちが元気にダンスしている姿や努力している様子を見てもらうことで、ブレイキンに対するイメージも変わってくるんじゃないかと期待しています。

撮影=平松市聖/文藝春秋

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