ここでいう“宴会”とは、支援者たちとの会合や地域コミュニティでの様々なイベントへの参加等の日常活動を指している。
一方、ボスと気脈を通じることで、「円滑」に議会を運営できれば首長の仕事はほぼカタがついたも同然なのだ。ボスさえ押さえてしまえば、あとはトップダウンで、原案が可決されていく。
事前の根回しを重んじてきたのも日本の伝統的な意思決定のプロセスではある。しかし、オープンな場で議論をせずに、物事を進めてしまうのは、議会がそもそも存在する意義を失いかねない。
首長と議会の間に緊張感がなくなると、どのようなことが起こるのか。このような記述を寄せてくれた議員がいた。
〈ベテラン議員の中には居眠りをしていたり、議案質疑もすることなく、一般質問も市職員に作ってもらっている議員がいる〉(60代・男性議員・東海)
〈首長に対し、あからさまにおねだりの様な質問や発言をする、或いは逆に質問や発言を全くしない、そんな議員が増えている事に危惧を感じております〉(50代・男性市議・中国)
議員で全く質問をした記録のない議員…
「そもそも質問すらしない」とはいったいどういうことなのだろうか。
実態を詳しく調べるため、私たちは各地で発行されている「議会だより」を丹念に点検した。その結果、議会で全く質問をした記録のない議員を発見した。
東京から1400キロ余り離れた北海道枝幸町(定数12)。人口は約8000人でオホーツク海に面し、特産の毛ガニは水揚げ量が日本一という一次産業の町だ。その町に10年間にわたって一度も議会で質問していない男性議員がいた。当選7回、在職27年のベテランだ。自宅を訪ねると、男性はすぐに我々を招き入れてくれた。