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医学部中退を「もったいない」と言われても、くるみさんが選択を後悔しなかったワケ

――お母さんから受けてきた「男性像」と、妻のくるみさんが求める「パートナー像」との間で板挟みになったこともありますか。

トマト それもすごくあったんですけど、母が亡くなったショックを超えて強く生きていくために、家族全員が意識を変えざるを得なくなりました。

 その結果もともと学歴を重んじてたり、「公務員になれ」と言っていた父もだいぶリベラルになって、「みんな自由に生きようよ」という考えになり、私自身も気楽になったところはありますね。
 
くるみ これだけ色々やってきたから、お義父さんも、「よくわかんないけど、お前たちの好きにすれば」みたいな(笑)。最近は私たちのYouTubeも見てくれてるよね。

――くるみさんが親から言われてきた“一番”になる教育を、お子さんには求めない?

くるみ しないですね。もっと自由に、その子がやりたいこと、興味があることをとことん掘り下げていく教育をしたいです。

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 慶應の医学部を中退したとき、周りから「もったいない」とかって言われたこともあるんですけど、皆、学歴やキャリアに執着しすぎて、そればっかりになっちゃってるんじゃないかと思うことがあります。

 一方で、育児休業給付金といった国の制度を使うためには、その資料や書類を読み込める知識も必要で、その点では、これまで自分が勉強してきたことが役立っているとも思ってて。

 なので、誰でもできることではないかもしれないけど、私たちと同じような考えを持つ人が実際行動に移せるように情報発信していくことは大事かなと思っています。

――エリートコースから外れたことや、肩書などはもう気になりませんか。

くるみ 自分の肩書は今ないですね。しいて言うなら、「1児の母」ってことくらいかな。桜蔭の同級生や医学部時代の友だちと会うと、周りと違いすぎるので、「今何しているの?」みたいなことは聞かれなくなりました。

 社会的評価や肩書って、なければないなりに自分でいろいろやれるので、今は何にも未練はないんです。

写真=杉山拓也/文藝春秋