「ユーさん、文章を書いちゃダメだよ。箇条書きにしないと。3行でいいから」

 世界的経営者、イーロン・マスクに「長文メール」を送ってはいけない理由とは…? Twitterジャパン社長としてイーロン・マスクと共に働いた笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む

なぜイーロン・マスクに長文メールを送ってはいけないのか? ©getty

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イーロンに長文を送ってはいけない

 実際にイーロンと仕事をした立場から、イーロンの仕事の仕方がどういうものなのかについてもお伝えしたいと思います。

 あるとき、Twitterの社員がChatGPTにこう聞いてみたそうです。

「イーロン・マスクにどうやって報告書を上げるべきでしょうか?」

 すると「イーロン・マスクは忙しい人なので簡潔に要点をまとめましょう」と返ってきたそうです。これは本当にそのとおりなのです。

 イーロンと文面でやりとりするとき、スペースXにいた人間が私の文章をチラッと見て、こう教えてくれたことがあります。

「ユーさん、文章を書いちゃダメだよ。箇条書きにしないと。3行でいいから」

 そこで私は、日本の戦略を5行で書きました。それに対する返事はなかったのですが、実行はしてくれました。わかってはくれているのです。

一方向の「プレゼン」ではなく「会話」を好む

 彼とコミュニケーションを取るためには、まずここからです。

 スペースXの人たちに言わせると、その3行なり5行から「これ面白いね。じゃあ、これどうなってるの? あれどうなってるの?」と会話になっていくのが正しいステップなのだそうです。

 イーロンは一方通行のプレゼンが嫌いです。

 するのもされるのも嫌い。どちらかというと、双方向の「ダイアログ」を好みます。話し合いながらやっていく。

 だからイーロンは、コミュニケーションできないわけではありません。コミュニケーションの仕方がポイントです。よくビジネスの現場であるように、びっしりパワーポイントの資料を作って、細かく説明しようとしても、イーロンとはコミュニケーションできないので要注意です。