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裁判を傍聴した帰りに、筆者は事故発生場所である交差点「学びの館ローズコム西」まで行ってみた。広島県道22号福山鞆線は、交差点部分が右折レーンを含めて片側4車線の広い道路である。約2kmほぼ直線で見通しもよい。その交差点で福山駅方面から光南町方面に直進していたフェラーリと反対車線から右折できると思ったワゴンRが衝突した。

フェラーリは、右折しようとするワゴンRの存在に「38.5m前」で気づき、急ブレーキをかけたが間に合わず、ワゴンRの左側面に衝突。その衝撃でワゴンRは交差点にある低圧分岐箱にぶつかって大きく損傷した。

ワゴンRの後部座席にいた孫の9歳女児はシートベルト未装着であったことで車外に放り出される形となり、現場近くにある太田記念病院に運ばれたが同日午後11時ごろに死亡が確認されている。

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ワゴンR運転の祖父も書類送検された理由

この事故では、ワゴンR運転の祖父も過失運転致死傷の疑いで書類送検されていたが、今年3月28日付で広島地検福山支部は不起訴処分としている。「情状全般を考慮」したことが理由だ。

書類送検された理由は、右折する際に前方をよく見ていなかったこと。また、判決の理由では触れていなかったが、9歳の孫にシートベルトまたはジュニアシートを装着させていなかった過失も考慮されたと考えられる。

この右直死亡事故を保険会社はどのような過失割合としたのか? 全く公開されていない情報であるため、筆者の知人である損保会社の幹部社員やベテランのアジャスターに過失割合や衝突時の状況をどう考えるか聞いてみた。彼らの回答をまとめると以下となる。

急ブレーキをしても衝突は不可避だった

「右直の事故であれば一般的な過失割合は直進車20:右折車80。これを基本として速度や曲がり方などを検証した上で決められます。同乗の孫にシートベルト(ジュニアシート)を装着させていなかったことも過失相殺の対象になり、20%程度と考えられます。バイク事故でヘルメットを着用してない場合と同様です。