著者はミシガン大学の法学および哲学教授。“RBG”の愛称で有名な元アメリカ最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの法務書記官として実務経験もある。本書が初の著書で、日本に翻訳紹介されるのも初めてだ。
子供の疑問を入り口にしてはいるが、対象としている主な読者は成人。子供との愉快なやりとりやユニークな思考実験に引き込まれるうちに、人間の持つ権利、人種差別やジェンダー問題、フェイクニュースなど現代社会のさまざまなトピックを考えられる。
語り口は柔らかだが、第一線の哲学者らしく議論は本格的。600ページと大部なものの、ダイヤモンド・オンラインに抜粋記事が掲載されるたびに大きな反響を呼び、刊行直後から順調な売れ行きを見せた。
「ビジネスパーソン向けの哲学の本というと、さまざまな思想を整理して解説するようなものが多いですが、本書は違います。著者自ら、ああ考えてはどうかこう考えてはどうかと真剣に切り込む。その視点が多彩で、そんな考え方もできるのかと驚きながら読み進めるうちに、読者も哲学的な思考を引き出されていきます」(担当編集者の三浦岳さん)
主な読者層は30~40代。AI時代だからこそ、自分の頭で考える力を養いたい。そして、子供にもそれを伝えたい。そんな関心からも手に取られているようだ。