多額の不透明なカネや、高度医療に欠かせない集中治療室を崩壊させるなど、乱脈経営が際立っている、東京女子医科大学(東京・新宿区)について調査していた第三者委員会が、厳しい評価の報告書をまとめたことが関係者の証言などから判明した。
「女子医大の理事会は解散すべき、という第三者委員会の指摘に衝撃を受けました。これは岩本絹子理事長に対する実質的な辞任勧告だと思います」(女子医大関係者)
東京女子医大を支配してきた女帝の進退は、今後どのようになるのか。危機に直面している医療現場の状況も含めて、最新事情をお伝えする。
予想外だった第三者委員会の調査結果
7月31日夕方、東京女子医大の総合外来センター5階にある大会議室は、物々しい空気に包まれていた。急遽、理事と評議員を臨時招集して、第三者委員会の調査結果について概要を説明することになったのだ。録音や撮影を防止する目的なのか、理事や評議員たちは携帯電話を預けるように要求されたという。そして、第三者委員会による調査結果の概要が説明された。招集された女子医大の関係者は、予想外だったと語る。
「個人のプライバシーに関わる部分があるため、いま報告書の全文はお見せできないということでした。そもそも現在の理事10人全員は、岩本先生が選んだ方々です。その理事会が選んだ弁護士たちですから、きっと岩本先生に有利な調査結果を出すだろうと思って、期待していませんでしたが、予想は良い意味で裏切られました。理事会に対してノーを突きつける報告だったのです。去年まで検察幹部だった弁護士が委員長なので、フェアに判断されたのだと思いました」
この第三者委員会は、今年3月に警視庁捜査二課が、特別背任容疑で東京女子医大や岩本絹子理事長の自宅を一斉に家宅捜索したことを受けて設置されたものだ。関係者によると、文部科学省からの強い指導があったという。