1ページ目から読む
3/5ページ目

「お前はお笑い界のベートーヴェンになれ」

五味 それこそ一時期プチブレイクして、次世代芸人みたいに言われてた時期もあったんですよ。もちろんダメで、その時もいろいろ経験して。思い描いているようにはいかないから、今この目の前にあるものを取りあえずやっていこうと、2人ともそういう気持ちになっていた。どんな状況でも、今目の前のことをやるしかないという感じはあったかもしれないですね。

——かっこいい。

五味 かっこよくはないですよ(笑)。

ADVERTISEMENT

中村 僕ら2人とも小島よしおさんにすごくお世話になっていて。結婚の保証人もやってもらったぐらいなんですけど。一度、僕が本当に噛むことで悩んでしまって、小島さんに泣きながら相談したんです。

 その時「大丈夫だ。お前はお笑い界のベートーヴェンになれ」って言われて。「ベートーヴェンは耳が聞こえなくたってあれだけ偉大な音楽家になったんだから」って。それはずっと胸の奥にあります。言葉は出なくてもお笑いはできるからって。

©山元茂樹/文藝春秋

——小島さん……。

中村 それを小島さんに言われた次の日、『ダウンタウンDX』を見たら、小島さんがメッチャ噛んで笑い取ってたんで、「そうか、噛んでもいいんだ」みたいな。

——小島さん(笑)。

中村 本当に前向きな方で。かなり小島さんの影響は僕ら2人とも受けてますね。

小島さんのパワーを感じて近づいていってる

——小島さんも相当いろんなことを周囲から言われてきたんでしょうね。「そんな格好で子どもたちだけ笑わせてどうするんだ」みたいな。

五味 実際それは言ってました。

——お笑いの世界では、センスある一言で大人を笑わせることが上位に置かれていますもんね。だからこそ『ゴット・タレント』で審査員が「I don't know!!」って言いながらゴールデンブザーを押したことに意味があるというか。

五味 わけわかんないけどなんか笑っちゃうよね、バーン、みたいな。小島さんもたぶんそういう方だと思うので。だから僕ら引き寄せ合っているというか、いや、パワーを感じて僕らが近づいていってるのかなと思います。

©山元茂樹/文藝春秋

——今現在お二人のテレビに対する距離感はどのように考えていますか。若手の芸人さんにお話を伺うと「正直テレビに対してそこまで思い入れがない」とか「すごく出たいとかではないんですよね」みたいに話す方も少なくないです。

中村 やっぱりテレビにあこがれてお笑いを始めた人間なので、小っちゃい頃から見ていた方の番組には出たいです。『さんま御殿』とか『ダウンタウンDX』とか。逆に芸人になってから始まった番組に対してはそんなに思い入れはなかったりするんですけれども。