全世界のパフォーマーが優勝賞金1億5000万円を目指して戦うアメリカの人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』。とにかく明るい安村やチョコレートプラネットも手が届かなかったゴールデンブザー(審査員特別賞)を日本の芸人として初めて獲得したのがサンミュージック所属のシューマッハだ。

 動物のかぶり物で世界を唸らせた37歳の同級生コンビはどんな思いであのステージに立っていたのか。ネクストステージ直前の2人に話を聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)

シューマッハの五味侑也(ごみゆうや:左)と中村竜太郎(なかむらりゅうたろう:右) ©山元茂樹/文藝春秋

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「もう分かんない! バーン!」って押してくれた

——現在オリンピック開催中ですが、『ゴット・タレント』とオリンピックってちょっと似てるのではないかと。

中村竜太郎さん(以下、中村) すごい考え方ですね(笑)。

——オリンピック同様『ゴット・タレント』は出場するのも難しいですが、その中でもゴールデンブザーはなかなか取れない。しかも、コメディアンは難しいと言われていますよね。

五味侑也さん(以下、五味) 激ムズと言われています。

——世界中のエンターテイナーが憧れる人気番組で、審査員がどうしても次のステージに進ませたい出演者にだけ押すことができるゴールデンブザーを獲得されました。

五味 ほんと運ですよね。あれもノリみたいな感じがありましたから。(審査員の)ソフィアが「わけわかんない!」って言いながらバーンと押してくれて。あれ、僕らのパフォーマンスが本当に素晴らしくてというよりは「もう分かんない! バーン!」だったので。

©山元茂樹/文藝春秋

——でもそれってお笑いの原点のような気もしていて。

五味 ああ、確かに。

——お笑いを考察するのがブームですが、「あの間がこうで」とか「あの言葉のチョイスがこうで」とか。でも実際に笑っちゃう時ってこうだよなぁと。何が決め手だったのかって聞かれたソフィアさんが、「I don't know!」って叫んだように。

五味 そうそう。

「才能のないピエロ」…世界中から賛否両論のコメントが殺到

中村 だから、かなり賛否両論がありますよ。メチャメチャ「否」の意見もあって。アメリカだとどうしても歌とかダンスとか、あとバックボーンが特に重要視される。あそこに行くまでの過程も。僕らの場合は否がすごいんですよ。「このゴミたちを次のラウンドに行かせるな」とか。

五味 「なんだこの才能のないピエロは」とか。

全身タイツに動物の被り物という、シューマッハおなじみのネタを披露した(『アメリカズ・ゴット・タレント』YouTubeチャンネルより)

中村 いろんな言語で書きこまれてる。賛否の「賛」ももちろんあるので、毎回動画についたコメントの翻訳ボタンを押す時、イチかバチかなんです。

——どういうことですか。

中村 一応押してみようって押したら「ただのバカの集まり」って訳されて出てきて。うわぁハズレだった(笑)。

——でも、それだけ色々な国の方が見てるということですもんね。

中村 それがうれしいですね。

——そもそも『ゴット・タレント』に出ようと思ったきっかけはなんだったのでしょう。