頭脳戦で敗北

 地形を把握するため、うみかぜ公園横岸壁の水中映像を動画で確認すると、波を打ち消すためのトンネルのような空洞が一帯に続いていた。

このような消波構造になっている

 これでは、どこで魚をかけても足元に潜られ、構造物に張り付いた貝類でラインが切られてしまう。

 対策として考えたのは以下の2点だ。

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・ラインを極太にする
ナイロン5号からフロロカーボンライン10号にラインを変更

・足元ではなく少し投げた先で釣る
手前に走られないよう沖で喰わせる

 この対策は功を奏すか……。2023年4月に改めて挑んだ。

 今回はラインを太くしたことで警戒心を高めてしまったのか、反応がないまま数時間が経過。

 しかし出会いは突然……。ゴン! と強い衝撃が来た。コブダイのアタリだ。アワセを入れると……前回と同じく足元のトンネルに潜り込まれてしまった。しかし、摩耗に強いラインを採用したおかげでしばらく引っ張り合いができるまで耐えている。

今回は少し浮上する動きも見せた

 しかしそれも束の間、またしてもラインは切れ、巨大魚を逃してしまった。10号でも駄目だったか……。以来、「足元ではなく少し投げた先で釣る」戦法も取り入れながら、釣行を続けるもアタリすらない日々が続いてしまう。

 投げた先でも釣れたという情報こそ得ていたものの、コブダイが逃げ道を断たれることを理解しているのか、明らかに反応がない。結局2023年も巨大魚を釣り上げることはできなかった。頭のコブいっぱいに脳でも詰まっているのだろうか? またしても頭脳戦で完敗した。

同志に話を聞いてみると……

 こうして釣行を続けていると、私のほかにもコブダイを狙っている地元の釣り師が数名いることがわかった。釣りの解像度を上げるべくお話を聞いてみると、地元の釣り師も足元に潜られてラインを切られてしまうケースがほとんどだそうだ。釣り上げるまでのハードルは皆同じで、そこを超えるのは運の要素が強いと言う。さらに興味深かったのが、60cm未満の魚体なら潜られても引っ張り出せることが多いが、ラインを切られてしまう場合は70、80cmの超大物ではないかということだ。

 そうなると私が2023年の釣行でラインを切られた魚は80cmを超えるランカーコブダイだった可能性も出てくる。モンスターの輪郭がうっすらと見えてきたが同時に絶望すら感じる。いったいどうすれば釣り上げられるのか。やはり少しでも足元より先で喰わせるほかないのだろうか。2024年春の再チャレンジでは、竿を450cmの長尺に変えて挑むことにした。