6月某日 中野区・ビル清掃(午前8時~午前9時)
毛色の違う仕事をやってみようと、今度はビル清掃に応募した。こちらは朝8時から9時の超短時間だ。中野区内の指定の場所に行き、現場から担当者の携帯に電話することになっている。
足を運んだビルは、4階建ての小さいマンションだった。電話をかけると男性が出た。
「タイミーさん、入って奥にごみの部屋ありますよね、それを道に出してください!」
燃えるごみの回収日なので、マンションのごみ集積場に溜まっているごみ袋の山を公道に出す仕事だった。「時間あまったらそこにある箒と塵取でそのへん掃いてください!」と、清掃要素は申し訳程度のよう。
「家庭ごみ出し」などとは言われていなかったので、こちらはTシャツにスウェットの軽装備。クモやコバエがいっぱいのなか、何往復もして素手でごみ袋を運び出す。箒と塵取は結局大きいクモと戦うのに使った。作業はぴったり1時間で終了。
ホースの水で手を洗って、日差しに積みあがったごみの山を見ていると謎の満足感はあった。最後まで雇い主には会わなかった。QRコードも現場にないので勤務時間を記録できないが、働き方が定時通りでなかったときに実働時間をアプリ上で修正する「修正依頼」を定時で送ることで代用。
なぜか牛丼チェーンでの仕事よりも直球で「社会の役に立った」感があり、落ち込んでいるときなどにド根性でやりたいタイプの仕事だった。タイミーのバイトでは、苗字で呼ばれることはほぼない。代わりに名前は「タイミーさん」に。湯婆婆に名前を奪われる「千と千尋の神隠し」を思い出した。
(バイト代:時給1300円 計1300円)