2008年の再結成も、その年8月の日本テレビの『24時間テレビ』に際しての、番組側から今井へのある依頼がきっかけとなっている。その依頼とは、SPEEDを再結成して、その9年前に同番組で出会った難病の少女に歌をもう一度届けるとともに、今井から息子が聴覚障害者であることを公表できないかというものだった。

 さすがに最初打診されたときには即座に断った今井だが、その後、考えに考えた末、《息子が大きくなったとき、息子の見える世界が今より少しでも輝いていたらいいなと思った。そして、「みんな一緒」「障がいは個性だよ」という言葉と想いが、たくさんの人に笑顔とともに届いてくれたらいいなと》の結論に達し、公表を決意したという(今井絵理子『ココロノウタ』祥伝社、2009年)。

 公表にあたってはほかのメンバーにも相談し、賛同を得られた。さらに話し合いを重ね、4人で「気持ちをひとつにしよう」との決意でのぞんだ『24時間テレビ』のステージでは、歌を手話を交えて披露もしている。このときの再結成は一夜限りの予定だったが、これを見たファンからの反響に応える形で本格的な再結成が決まった。

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©文藝春秋

参院選に出馬し当選。一方で不倫問題も…

 SPEEDはその後も数年間、新たにアルバムなどをリリースし、2015年には島袋と今井によるユニット・ERIHIROも結成された。一方で、今井は個人としても息子を連れ、ギター1本で全国各地の特別支援学校や福祉施設を訪問する活動を始めた。2011年の東日本大震災後には、被災地で歌や絵本の読み聞かせも行っている。

 こうした活動が同じく芸能界出身の参院議員・山東昭子の目に留まり、政界入りを熱心に勧められ、2016年、自民党の比例代表として参院選に出馬して当選する。

街頭演説をする今井絵理子 ©文藝春秋

 参院議員に就任5年目の2020年には、日本の国会で初めて手話を併用した質疑を行った。その後2022年に再選し、現在2期目を務める。この間、最初の当選の翌年には当時神戸市議だった男性(のちに事実婚のパートナーとなる)との不倫疑惑が報じられるなど、たびたび世間を騒がせてもきた。

 上原もまた、2014年に夫でヒップホップグループ・ET-KINGのTENNが自ら命を絶ち、3年後にその原因が彼女の不倫だったとする報道が出て、激しい非難を浴びた。