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 もちろん勝ちたい気持ちは当然あるだろう。でも勝てるような技を出して、王道の勝ち方をしたいのではなく、あくまで自分のスタイルで勝ちにいく。だからこそ彼女は玄人受けするし、ジャッジングにも影響を及ぼしているのではないか。

 さらに彼女は自らの武器をより鋭いものにする努力も怠っていない。

優雅に流れるようにトリックをこなしていたワケ

 今回のランを見ると、豪快ではなく優雅。流れるようにトリックをこなす姿が印象的だった。聞けば食生活までしっかりと考えたトレーニングをしているからだという。

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 スケートボードを競技として考えた時に、どうしても脚力が必要になってくるが、そこをただストイックに鍛えて脚を太くさせるようなことはしていない。髪の毛が長いのも、ビキニの上からシャツを羽織るファッションもそう。見られ方においても常に努力してる証拠なのだ。

2022年の開心那 ©️Yoshio Yoshida / X Game
2023年の開心那。1年ごとに大きく成長しているが体型はしっかりとキープしている ©️Yoshio Yoshida / X Game

 またそこはスポンサーを見てもよくわかる。大手一般企業が少ないのだ。それも自らがカッコいいと思ったブランド以外スポンサーはいらないというスタンスからなのだという。多くの選手は活動費や自らのPRのために契約を結ぶことが多いが、その選択は自らの客観的イメージに大きく影響する。

 そこも頑なに自分を貫き通しているのだ。

 将来の夢はスケートボードの本場であり、発祥の国であるアメリカに自分の家を持つこと。純粋にアメリカでスケートボードをすることに憧れ、世界的にカッコいいスケーターになりたい、自分のシグネチャーモデルを出したいとはっきり答えているところに、開の魅力のすべてが集約されていると思う。

銀メダルの開心那 ©JMPA

 最近の彼女を見ているとこんなことを感じてしまう。

「このスタイルで結果が出たら、スケートボードって最高にクールなものになるよな」

 4年後に彼女が黄金に輝くメダルを手に入れた時、日本のスケートボードシーンはより高みへと足を踏み入れているに違いない。