こんな差別がまかり通っていて、どこがシルバー民主主義なんだと言いたい。

 ついでに言うと、高齢者のうつ病は高齢人口の5パーセントとされていますから200万人近くいます。その1割くらいの人は慢性的に死にたい、お迎えがきてほしいと思っています。このような発言が自殺の背中を押すことは十分に考えられます。

 この発言を耳にした人が1000人くらいは自殺するんじゃないかと思うと背筋が寒くなります。

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 シルバー民主主義と批判するわりには、高齢者に冷たい社会だなあと思うことがあります。

写真はイメージ ©moonmoon/イメージマート

日本は高齢者に優しい街になっていない

 1970年前後は交通事故が盛んに問題になって、年間2万人近くが交通事故で亡くなっていました。その時に歩道橋をたくさん作りました。

 それがいまだに放置されたままだから、高齢者が増えているにもかかわらず、歩道橋にエレベーターやエスカレーターもないのです。

 ついでに指摘すれば、欧米と比べたら、歩道はせっかくあるのに、そこにベンチがほとんどありません。

 高齢者はちょっと歩くと疲れて、ベンチでよっこらしょと腰かけたいのに、それも出来ない。高齢者に優しい街にぜんぜんなっていません。

 歩道を広げたり、花壇を作ったり、草木を植えたりはする。でも高齢者が座る場所は用意しない。新しく小さな公園を作っても、ひどいところはベンチがなかったりします。

 高齢者を知らない人にはありがちですが、齢を取れば取るほど下りの階段が怖くなります。下りの階段を下りる筋肉のほうが先に弱るからです。上りはしんどい、それ以上に下りは怖い。

 それなのに、エスカレーターが1つしかないところは、ほとんどが上りです。

 JRを見ても民営化したはずなのに、東京駅なんかはひどいものですよ。店はやたらと増えたけど、エスカレーターとエレベーターは全然足りない印象が強いです。

 社会のいろんな場面でシルバー世代がぜんぜん大事にされていないのに、どこがシルバー民主主義なんだと私は言いたいですね。