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 シリーズ最終作といわれた『さらば』の中で、若い恋人と海外移住をするはずだったタカだけではなく、ユージも「結婚して子どもを作る。で、その子どもをダンディーな刑事に育てる。それが俺の夢」と語っていたからだ。

舘ひろし ©文藝春秋

結局どちらの娘なのか? “時代の先端”にあったタカとユージの姿

 一度幕を閉じたタカとユージの物語を再び開けた際、その関係を表す言葉が“家族”だったということにグッときた。きっとそれは“娘“である彩夏を通したからこそ辿り着いた答えなのだろう。

 2人のダンディズムを際立たせる『さらば』のハードボイルドな画面作りとは対照的に、今作がどこか温かみのある雰囲気になっていたのも“疑似家族”というテーマが大きく作用しているのかもしれない。

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 結局彩夏はどちらの娘なのか。その結果は、2枚のDNA鑑定書を見比べて「え~!??」と叫ぶ透のリアクションで明らかだ。けれど、彩夏と同じで「どっちでもいいな、お父さん」と思える。大切なのは誰と血が繋がっているかではなく、今そこにある関係性なのだから。

©文藝春秋

 70代を迎えた舘ひろしと柴田恭兵が、同じように年を重ねたファン待望の最新作で、ナチュラルに新しい価値観を提示していたことが、とてつもなく格好良かった。それは「こんな時代だから」と時代に強いられたからではない。令和に生きるタカとユージがいた場所が、たまたま“時代の先端”だったのだ。

 これからもずっとタカとユージは時代の先を走りつづける。その姿はいつまでもダンディーで、最高にセクシーなのだ。

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