1986年のテレビドラマから始まった
1986年から放送開始となった『あぶない刑事』(日本テレビ系)シリーズが、その長い歴史に幕を下ろしたのは2016年のこと。定年を迎えたタカとユージと共にシリーズも終わった……はずだったのだが、またまた、もっと、まだまだ、といわんばかりに、2人は再びスクリーンにカムバックした。
本来ならばここで幕を下ろすはずだった前作『さらば あぶない刑事』は、シリーズを牽引した亡き黒澤満プロデューサーによる最後の『あぶ刑事』だ。男たちの美学が凝縮された従来の『あぶ刑事』らしい、まさに集大成といえる一作だった。
タカとユージの定年退職が5日後に迫った『さらば』では、最後の1秒まで“現役”の刑事として輝く、2人の生き生きとした姿を描いていた。マドンナ役の夏海は当時20代の菜々緒が演じており、第二の人生を迎えるタカのパートナーとされていた。最終的に事件に巻き込まれた夏海は非業の死を遂げてしまうのだが、若い恋人の傍でタカが涙するという、まさに“男のロマン”を思わせるような描写が印象的だった。
そして今回、『あぶ刑事』放送開始の翌年である1987年生まれの原廣利監督がメガホンを取った『帰ってきた あぶない刑事』は、シリーズへのリスペクトを感じつつも、その形相は大きく異なっていた。
探偵事務所を立ち上げたタカとユージ
物語自体は前作『さらば』と地続きになっており、ニュージーランドに移住したはずのタカとユージが、8年ぶりに帰国し、横浜で「T&Y探偵事務所」を立ち上げる。
2人の帰国を待ち侘びていたかのように発生する殺人事件、昔の恋人の面影を感じる謎の美女など“刑事ドラマのお約束”はもちろん、ハーレーに乗りながらショットガンをぶっ放すタカ、横浜を駆け回るユージ、そして薫(浅野温子)や透(仲村トオル)といった『あぶ刑事』メンバーも健在だ。
(※この先、最新作の具体的な内容について触れています。)