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今から観るかたが本当に羨ましくて仕方がありません

――最後に、この記事を読んで、これから初めて劇場で『THE FIRST SLAM DUNK』の観客になる読者のかたに向けて、改めて一言いただけますか。

小池 本作では公開以前はもとより、現時点においても、物語の内容に言及する取材を一切受けていません。それは先ほどお話しした通り、これから観客になるかたにとっては、まだ箱を開けていないプレゼントだからです。公開して半年が経った頃、よくチームのみんなと、「この映画をこれから観る人が羨ましいね」と話し合っていました。それは決して不遜な意味ではなくて。

――過去、何度かアーティストのインタビューで「これから初めてビートルズを聴くリスナーが羨ましい」といった発言を聞いたことがあります。

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小池 まさにそれに近い気持ちです。僕らはあまりに途中経過を観過ぎたので、もうそこには戻れない。以前、監督がインタビューで語っていたんですが、ファンのかたから「原作の『スラムダンク』を読んだ記憶を一旦消してもう一度最初から読みたい」と言われたことが何度もあったと。無論、そんなことは不可能ですよね。

 でも、この『THE FIRST SLAM DUNK』なら、そんなかたがたにとっても初めての『スラムダンク』になるし、まだ原作を読んだことのないかたがたにとっては、正真正銘、初めての『スラムダンク』になる。監督がこの作品に『THE FIRST SLAM DUNK』と名付けたように、みんなにとっての「初めて」の『スラムダンク』として楽しんでいただけたらうれしいです。だから、僕からのレコメンデーションとしては、「今から観るかたが本当に羨ましくて仕方がありません」という言葉に代えさせてください。きっと楽しんでもらえるはずです。

 そして、理想としては、今後もサーカスのように定期的または不定期的に劇場に現れて、みなさんに遊びに来ていただけたらうれしいですね。そのためにも、まだまだ上映が続けられるよう、努力を続けていきたいと思います。