2023年国内興行収入1位となる約158億円を記録し、社会現象になった映画『THE FIRST SLAM DUNK』が “復活上映”と銘打って8月13日より再びスクリーンに帰ってきた。2022年の公開時を上回る全国382館での上映に至るまでの道のりを、製作スタッフのひとり小池隆太氏に尋ねた。(全3回の1回目/#2#3を読む)

 

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音楽回りにも参加して「“音”に深くコミットできた」

――本作の復活上映についていろいろと伺う前に、まずは小池さんのスタンスから確認させてください。小池さんは東映アニメーション所属のプロデューサーで、本作のエンドロールでは“音楽プロデューサー”としてクレジットされていますね。

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©︎石川啓次/文藝春秋

小池 当初からAP(アシスタントプロデューサー)として参加していました。前職が音楽レーベルで制作部門にいたこともあって、音楽回りにも参加することになり、最終的には音楽プロデューサーとしても関わらせていただくことになったという順番です。

 一般的に“音楽制作”というと、ポストプロダクション(※仕上げ作業の総称)に属していて、アニメ制作より参加が後発だったり、やや距離がある事が多いのですが、私はAPとして制作現場にいられたこともあって、今作では音楽制作がアニメ制作と伴走することができました。監督をはじめとする制作スタッフと長い時間を共有できたことで、制作過程の中で音楽の話や音のイメージの話をする機会がありましたし、今作の“音”に、とても自然に、深くコミットできたと思います。

 音響制作や宣伝、映画公開後のDVD/Blu-ray、配信企画にも関与はしていますが、もう「何でもやる」という意味で、正直あまり肩書きを気にしていません。

 僕は転職組でしたが、やりたいことに挑戦させていただけるチームだったという事も幸いして、役割が増えたという側面もあったかもしれません。

 この作品に関わりたい人はきっとたくさんいたのに、いろいろな形で関わらせていただいて、とても幸せを感じています。