382館からのニーズ、全国47都道府県での上映へ
――今回の復活上映の上映館数は382館。大ヒット作品とはいえ異例の数だし、興行として「強気」と見る向きもあると思います。どのような経緯で決まったのでしょうか?
小池 復活上映のプランは昨年の夏から進めてきました。ただ、決して僕ら側が「300館超えでやるぞ!」と、最初から戦略のように掲げていたわけではなかった。東映の営業はじめ関係者の皆さんが各劇場にオファーをした結果として、この数に着地したというのが正しくて。
――つまり、純粋に、この数の劇場からニーズがあった?
小池 はい。こちらからは一つだけ、「日本全国の都市をカバーしたい」というリクエストはしました。おかげさまで、最初のロードショーは372館でしたが、今回の復活上映は382館となり、47全ての都道府県での上映が叶いました。
これは「映画館を通じて届けたい作品」
――そもそも復活上映というのは、どういった動機から生まれたプランなのでしょうか?
小池 前提にあったのは、井上雄彦監督以下、制作陣一同がずっと抱いてきた「これは普通の映画じゃないんだ」という強い思いです。要は、ロードショーが終わって、パッケージのリリースや配信があって、それでハイこれで一通りお仕舞いです、という道を辿らせる作品ではなかったというか。ともかく、「劇場で観ていただくこと」に、徹底的に拘っていました。パッケージも配信も、改めて劇場に足を運びたくなってもらうための導線という考え方で進めました。そう感じていただけているかは分かりませんが、自分たちが「そう思って届けている」ということが大切だと思っていて。
常に劇場で観ていただける環境をどう作り、それを維持するのか。それが本作のチームの一番の命題です。なるべく劇場で観ていただけるような挑戦を続けていきたい。つまり、来年も、再来年もあるかもしれない。今回は結果的に382館でしたが、今後、仮に実現したとしても、来年はもしかすると2、3館かもしれない。もし来年も上映していたとして、「いつまでこするんだ?」とか「いつまで続けようとしているのか?」みたいな見方をされるのは全く本意ではないと言うか。
――では、本意はどこにあるのでしょうか?
小池 例えば公開年の2022年当時に3歳だったお子さんはいま5歳だし、いま5歳のお子さんは、5年後には10歳を迎えますよね。そのとき、お子さんが足を運べる環境の映画館でこの作品がかかっていることが僕らの本意であり理想です。リアルタイムでの上映を体験することの出来なかった未来の観客に、やはり映画館を通じてこの作品を届けたい。それがまずひとつです。
――なるほど。そのほかには?