一方で怪談は普段使いのカジュアルな言葉で話しますし、舞台もほとんどの場合が現代で親しみやすい。何よりも短い。

最近は怪談のコンテストがたくさん開催されるようになったのですが、次第に短く話す技術が求められてきて、ついに3分で1本の怪談を語るという規定のコンテストが登場しました。ツカミとオチをつけて3分間で話すのは難しいことですが、10分以内、5分以内の怪談はもはやスタンダードです。1分怪談というものまであります。

そうした“短いエンタメ”という点も、令和の怪談が流行る背景にはあるのではないでしょうか。

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怪談とホラーの違い

――怪談には「ウソ」「思い違い」「作り話」というイメージを持つ人も多いかと思います。そもそも怪談とはなんなのでしょうか。ホラーと怪談は違うのですか?

怪談はなんでもありのエンタメなんです。怪談の“怪”は、「あやしい」を意味します。

あやしい話なら、すべて怪談と言っていいと私は考えています。

「実話怪談」と呼ばれる実際に体験した話や体験者から聞いた話だけではなく、創作した話も怪談として成立しますし、怖い必要もありません。

また、話のなかで、怪異現象や不思議な体験の原因が明かされなくてもいい。

実際、実話怪談には、オチがなくて、よくわからない話も多い。体験者本人が、なぜ、そんな不思議な経験をしたのかわかっていない場合も少なくないので。

曖昧で、不思議で、あやしい。そんなところも怪談の魅力です。

対してホラーの場合、最低限の条件は恐怖なのでは? 怖くなければ、ホラーとは言えません。また恐怖の原因がはっきりしている場合が多いのもホラーの特徴です。

体験者の共通点

――これまで5000以上の怪異体験を収集したとうかがいました。体験者の共通点を教えてください。

私の場合は、SNSを通して「不思議な体験談を教えてください」と呼びかけて応募してくれた人から聞き取りをしています。私のSNSを見る人のほとんどが怪談好きなので、不可思議な体験を、怪異やお化けと結びつけやすいという共通点があるかもしれません。