――家の全焼から2年が経ちますが、やはり引きずりますか。
矢沢 たとえば、昔の曲を聴いたら、当時の記憶とか思い出すじゃないですか。「ああ、これ部屋で何度も聴いたな」とか「CD持ってたな」とか。そうやって思い出すんですけど、その物自体は焼けてしまっているから存在しないんですよ。「あのCD聴きたいな」と思っても、CDなんてすべて溶けちゃってる。
いま住んでるタイで、お店に入るじゃないですか。そうすると、日本のアニメとかのキャラのフィギュアが飾ってあったりするんですよ。「これ持ってた」なんてお店の人と話すんだけど、すぐに「これ燃えてた」とハッとしたりね。そういうのって、ものすごく悲しいし、家を燃やした後輩が憎くてしかたなくなるので、思い出や過去に蓋をしようって決めてます。
ミャンマー人と親友になって一緒に出家
――出家されたこともあるそうですが、それは現在のタイ在住などと関係が?
矢沢 出家したのはミャンマーですが、タイがきっかけではありますね。まず、2016年6月に吉本を辞めたんですよ。「芸人として売れてMCとかやるぞ」って頑張ってたんだけど、その一方で海外に住みたいって思っていたんです。で、2014年あたりから、海外に住みたい気持ちのほうが大きくなっていったんですよ。
吉本を辞めたのは、SMAPの謝罪会見を見たことが影響もしていて。SMAPって、売れてるどころの話じゃないじゃないですか。それなのに、あんなふうに謝罪をしなきゃいけないのってどうなんだろうって。
それで吉本を辞めて、まず世界一周に出たんです。いろいろ回って、3ヶ月ほどタイのサムイ島に滞在して「日本に帰りたくないな」と思って。そこでタイに出稼ぎに来てるミャンマー人と親友になって、僕が一旦日本に戻ってからもやりとりしてたんですよ。そうしたら、そいつがミャンマーに里帰りするって言うので、僕もついていくことにしたら出家もセットだったんですよ。
――出家目的の里帰りだったのですか。
矢沢 詳しくは分からないんですけど、タイとかミャンマーの人たちって、人生のなにかしらのタイミングで何回か出家するらしいんですよ。でも、僕は里帰りするだけだと思っていて。空港に着いてから、そいつに電話したら「出家する」と言ってるから「話が違えじゃねえかよ!」と思いつつも、「いや、これ面白いな」と思って「じゃあ、俺も一緒に出家するよ」って。