箱根駅伝とスポーツビジネスの関係

――会社としてもスポーツビズは、箱根駅伝のマーケティングにも関わっているそうですね。

山本 もう10年くらいになりますが、運営の一部をお手伝いさせていただいています。僕自身は現場にはいきませんが、社員が6人くらいでチームを作り、箱根駅伝のコース上のスポンサーさんの権利がきちんとコントロールされているかを調査する仕事をしているんです。具体的には、競合他社の看板や旗が沿道上にないかをチェックして、写真を撮影し、毎年、分厚い報告書を上げています。

 また、箱根駅伝というのは、僕らが日ごろからお付き合いをしているミズノ、アシックス、デサント、ナイキ、アディダス、プーマ……いろんなスポーツメーカーと、まず年明けにお目にかかる機会でもあります。スタート地点となっている、大手町の読売新聞本社前に朝の6時半~7時くらいに出かけて、一通りスポーツメーカーの方と年始の挨拶をするのが恒例行事となっています。

ADVERTISEMENT

 それこそ、毎年あの場に集まっているメーカーの販売促進を担当する皆さんは、自分たちのシューズ開発の成果や、自分たちのウェアを通じたブランディングを、ものすごく気にされていると思いますよ。予選会から何チームが出場して、最終的に箱根駅伝に出るチームのうち、どれだけ自社がサポートしている大学になるのか……そこは本当に悲喜こもごもです。

池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』

 やはり小説の中で、甲斐監督が「これは君たちだけの箱根駅伝ではなく、俺たちの箱根駅伝だ」と、学生たちに言った場面もすごく印象的で、箱根駅伝は当然アスリート、実際に走る大学生たちが主人公ですけど、それに携わるメディアや協会、スポーツメーカーや大学各部といった、本当にさまざまな人々がいて、この情熱的な感動が得られるものだと、改めて痛感させられますよね。

 

山本雅一(やまもと・まさかず)

1964年生まれ。駒澤大学卒業後、広告代理店に勤務。96年にスポーツビズを設立。アスリート・指導者・文化人の競技からライフプランまでをマネジメントしている。

https://www.sports-biz.co.jp/