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「変動」か?「固定」か? これから住宅を購入する場合

 さてこれから住宅を購入しようと思っている人はどうだろう。金利が上がるということをあらためて学んだわけだから、変動がよいか固定がよいかじっくり考えるときだろう。固定期間も数年からフラット35のように全期間固定のものまで選択肢は広い。

 今回の引き上げ幅はそれほど大きなものではない。ただ金利が恐ろしいのは上がるときはローン債務者の事情などお構いなしにするっと上昇することだ。先ほどの事例では0.15ポイントのアップで返済額は月7000円増だったが、さらに1ポイント上昇して2.15%になったらどうなるだろう。毎月返済額は33万9000円と借入当初より5万6700円のアップ。年間で68万円、総返済額は2400万円もの負担増となるのである。もはやたかが金利、の話ではなくなってくるのである。

©takasu/イメージマート

 それでも生活物価も上昇、インフレ時代になれば不動産も値上がりする。ローン返済が厳しければ物件を売却して返済できると思うかもしれない。しかしこのシナリオも注意しておいたほうが良い。金利の引き上げは円高につながる。東京都心のタワマンなどを買いまくっていた外国人投資家にとっては、手じまいの鐘が鳴る可能性がある。早めに物件を売却して自国通貨に戻し、一旦利確をするチャンスになるからだ。都心の超高額マンションやオフィス、ホテルなどは今や外資マネーで成り立っている。買いの主役である彼らが売りに転じることは多くの不動産に逆風が吹きつける可能性がある。売りが売りを呼ぶのは株式マーケットと同様だ。担保価値が下がると、持っていたマンションを売却してもローンを返済できないリスクに直面することになる。

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管理費や修繕積立金にも値上げの“圧力”が…

 もうひとつ耳の痛い話をしよう。マンション所有者にとっては毎月支払っているのはローン返済だけではない。管理費や修繕積立金にも値上げの圧力が加わり始めている。どこの業界でも人手不足が深刻な問題になっているが、現在はマンション管理人不足が業界の問題となっている。管理費の値上げをしないとマンション管理会社も商売を続けられない状況になっている。さらに加えて、大規模修繕に備えて積み立てている修繕積立金が足りない問題の勃発だ。築15年、30年などの節目に行われる大規模修繕工事。ただでさえ分譲会社は販売時には総支払額負担を低く見せるために当初の積立金を低めに見積もるのが横行していたが、そのツケが到来する。タワマンなどは戸数が多いので積立金は少なくて済むなどというウソを語る業者もいる中で、この数年の建設費の値上がりは重大な問題を招いている。修繕であって建物を建てるわけではない、と思った人は考え直したほうが良い。大規模修繕に伴う人手の不足、エレベーター、給水塔などマンション共用部の各種設備の値上がりは天井知らずだ。特に工事が特殊なタワマンなどはそもそも工事を請けない業者も多い。