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 現在、タワマンの多くは修繕積立金が1㎡あたり250円から300円程度と国土交通省設定のガイドライン338円を下回っている物件が多い。またガイドラインも高騰を続ける建設費の値上がりをどこまで見込んでいるのかは疑問だ。

 多くのマンション所有者は今後管理費と修繕積立金を合わせて月額2万円程度の上昇を見込んでおいたほうがよさそうだ。それも今後10年程度の話。その先は建物の経年劣化の進行で更なる値上げが待ち伏せしているはずである。

金利引き上げの先に待つもの

 超高額マンションで宴の只中にあったマンションマーケットから外資マネーが逃避する、物件価格が下がる。金利の状況を見極めようとする人たちで新築マーケットが落ち込む。そしてそれらのマンションを供給してきたデベロッパーにとって金利の引き上げはかなりタチの悪い爆弾だ。

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 大手不動産会社の有利子負債は各社3兆円から4兆円に膨らんでいる。もちろん多くを長期貸付にし、金利を固定化しているのだが、住宅ローンとは異なりいつまでも固定できるわけではない。コンマ数ポイントの上昇であっても金利上昇はこれまでのイケイケの状態からの戦略転換のきっかけとなる。実際に、最近は都内で大型の不動産を手放す動きが顕在化している。

 結論として金利の引き上げは不動産マーケットに何も良い影響はもたらさない。ただ上がりきったあとに下がりが来る。マーケットは株式でも債券でも金でもみんなそうだが、上がり下がりをするところに利益があるのも投資の鉄則である。ことマーケットに限って言えば、「海はナギよりも風が吹いて多少波立っている状態がよい」のである。